研究課題/領域番号 |
21K18401
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
門司 和彦 長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 教授 (80166321)
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研究分担者 |
金子 聰 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (00342907)
東城 文柄 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 准教授 (90508392)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | ラオス / 分娩 / 新生児 / 妊産婦 |
研究実績の概要 |
ラオスの少数民族居住地域では近年,施設分娩も進んでいるが,未だに非衛生的な自宅分娩が行われており,妊産婦死亡率も新生児死亡率も高い水準にある。僻地では,郡病院やヘルスセンターに行く手段も乏しい。出生前検診(ANC)において「ママキット」と呼ばれる基本的な衛生商品を母親に提供し,安全な出産の割合を高めることを目標に現地の村落ヘルスボランティアを巻き込んだ活動を実施し,1)出産前検診(ANC)への参加率の引き上げ,2)ママキットを利用して出産した女性の満足度の状況把握,3)妊産婦死亡,新生児死亡のケーススタディ(原因究明)を実施することが本研究の目的である。それぞれの具体的な実績については以下の通りである。 (イ)ママキットの配布をラオスで実施したことがあるUNFPA(国連人口基金)のラオス事務所とオンライン会議で意見交換を実施した。ママキットの具体的なセット内容を現地研究者と検討し、ラオスの僻地で求められるキットが出来上がりつつある。キット内容は、キットの説明書(ラオス語)、ガーゼ、アルコール、消毒薬、ゴム手袋(4セット)、石鹸、メス、ピンセット、縫合糸、タライである。 (ロ)女性の満足度調査を実施するための調査票の試作ができ、それらを電子調査できるように調整中である。英語で作成した電子調査フォーマットを現地語にすることで、僻地での調査も可能となり、更にデータを長崎のデータサーバでリアルタイムで確認が可能となる。 (ハ)妊産婦の死亡症例数や新生児死亡の原因究明のため、WHOのバーバル・オートプシー(口頭剖検)を用いる。それら実施のための最新版の英語版システムのラオス語への翻訳作業を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響により、現地の活動制限があり、特にラオス保健省は新型コロナウイルス対策によりキャパシティが逼迫している状況がある。本研究を現場で実証するためにはもう少し現地の受け入れ体制に余裕が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
各項目(イ)~(ハ)の今後の研究推進方策を記す。 (イ)ママキットのプロトタイプを作り、現地カウンターパートに送付する。これらが現地保健省を通じて研究目的で配布する手順を整える。1キットあたりの値段が現在、2000円程度であるが、現地で購入できるキット項目を再検討し、低コスト化を試み、できるかぎり低コストで参加者を増やす試みを行う。 (ロ)電子調査票のプラッシュアップおよび現地での実施に向け、現地調査員のトレーニングマニュアル作成を行い、実際にママキットプロトタイプと併せて実践に用いれるかを現地保健省カウンターパートと検討する。 (ハ)妊産婦死亡例や新生児死亡の症例を補足することが難しい可能性がある。バーバル・オートプシーは実行可能かを、妊産婦死亡や新生児死亡に限定せず、検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は新型コロナの流行とラオス政府の規制により、現地調査ができなかったので、ママキットの細部を決定することができず、ママキットを作成、購入、配布することができなかった。 令和4年度には、現地調査を実施し、ママキットの細部を決定し、現地(ラオス)で、ママキットを作成、購入、配布するために資金を使用する計画である。
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