研究課題/領域番号 |
21K18404
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
近藤 章夫 法政大学, 経済学部, 教授 (60425725)
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研究分担者 |
山本 匡毅 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (30455555)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 産業史 / 地域経済学 |
研究実績の概要 |
これまで蓄積してきた日本の地域産業や産業技術史の知見をイノベーション論から一層豊富化する試みとして、特許や論文データベースを利用した計量書誌学的な分析を進めている。今年度については、まず関連する分野における研究動向を整理し、地域経済論や集積論などについての近年のアプローチの特徴などについて展望論文としてまとめた。定量的分析へのアプローチとして、特許データの活用を進めており、研究者向けに公表されている知的財産研究所のIIPパテントデータベースを利用して、1960年から2010年度までの上場企業ごとに集計データを作成し、年次ごとの動向について検討した。主に大手の電機・電子企業に焦点を当てて、それらの立地動向と出願状況を照らし合わせながら、特許の出願状況の地域特性などを把握するために関連論文や新聞・雑誌記事の分析を進めた。また地域ごとの産業技術史へのアプローチとして、電機・電子企業の1960年代から1990年代までに刊行された工場史や社史などのデータベースを作成し、特に工場史や事業部史などについて既刊されているものについて調査を進めた。工場史や事業部史などに記載されている技術開発や立地機能などの記述内容などについては、いくつかの社史においてOCRにてテキスト情報を取り込み、技術開発の動向やイノベーションの地域特性などについてテキストマイニング手法の利用可能性などを検討しながら考察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
定量的な手法を利用するための特許データや論文データについては、計画どおりにデータベース化を進めており、またそれらの分析を補完する企業の社史などについてもおおむね当初の予定どおりに進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
特許データについては、出願状況をミクロに把握するために企業組織などの資料分析を進めるとともに、出願人などのデータを論文データなどとマッチングするなどしてさらなる特許データの属性付与を進めていく。また入手が難しい社史や企業資料については引き続きアプローチを模索するとともに、特定の場所に所蔵されている貴重な資料については、所在が判明しているものは国内出張を計画して入手する方向で検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
地域産業技術の調査費用として計上予定であった国内出張については、コロナ禍のために延期した。またその調査にあたって資料購入費などについてもペンディングとなったために次年度使用額が生じた。今年度は延期になっている国内出張を実施する予定である。
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