本研究では、高精度な地形デジタルデータ、機械学習の画像解析プログラム、既知の膨大な遺跡情報を組み合わせることで、GIS上で遺跡の新発見候補を自動抽出し、それをもとに現地調査することで遺跡を新発見する手法を開発する。遺跡は地域研究の基礎情報になるため、新たな遺跡の発見は、地域の歴史を詳らかにするうえで重要であり意義が大きい。効率的な発見手法は、歴史研究を加速させ、文化財保護にも貢献できる。実現するために、遺跡情報(位置と範囲)の整備(目的Ⅰ)、遺跡画像解析プログラム作成と処理(目的Ⅱ)、遺跡新発見と手法開発(目的Ⅲ)の3点を目的とする。 2022年度は、2021年度に作成した古墳地形DEM画像へのMask R-CNNモデルによるニューラルネットワークベースモデルを適用し、古墳の存在が高い地域を抽出した。多数の候補場所から、より可能性の高い場所を選択するために、古代の官道・官衙・国分寺などの位置情報をGISデータ化し、候補地と突合した。そのうえで、50cmメッシュのCS立体図にて微地形を確認し古墳地形を精査した。実際的に踏査可能である場所や交通の便などを踏まえ、結果、兵庫県たつの市、兵庫県豊岡市にて実地踏査を実施した。 たつの市では新たに古墳を約10基、豊岡市では約20基の古墳や山岳寺院を発見した。現地では、従来の実測に加え、ドローンによるフォトグラメトリやLiDARによる3D計測を実施した。
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