研究課題/領域番号 |
21K18410
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
弥永 真生 明治大学, 会計専門職研究科, 専任教授 (60191144)
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研究分担者 |
徳永 保 筑波大学, 筑波会議・TGSW推進ユニット, 客員教授 (00594863)
大渕 真喜子 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (30400625)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 学校法人 / 倒産 / ガバナンス / アメリカ合衆国 / 連合王国 / 再建型倒産手続 |
研究実績の概要 |
3つのサブトピックについて、机上調査により、問題の所在を把握した。 第1に、日本の学校法人におけるガバナンスの問題について、学校法人における報酬等の決定を含む東京地裁令和3年7月1日判決の事案を中心に、理事会及び評議員会が理事長に対して十分なコントロールを行うことができない要因について、分析を加えた。 第2に、アメリカ合衆国における大学の破綻をめぐる法的スキームについて、机上調査を行った。2006年に公表されたわが国における(数少ない)先行研究では(当該論文の引用文献からは1980年に刊行された文献に基づくもののようであるが)、アメリカ合衆国内の大学は会社と同じ倒産手続きに服し、かつ、一般的に債務者は再建型手続(連邦倒産法第11章。いわゆるチャプターイレブン)を選好すると紹介されていたが、現実には、チャプターイレブンは経営危機に陥った大学にとっては(現地調査をすることができていないため、やや古い統計資料に基づいたものであるが)一般的なものではないことが明らかになった。そこで、このような状況が存在する制度的背景を調査したところ、たしかに、大学も連邦倒産法の適用を受けることができるものの、高等教育法の規定により、チャプターイレブンの申立てを行うと、当該大学は高等教育法のtitle IV programの適用適格を失うことになるため、申立てを控えているのではないかということが明らかになった。 第3に、連合王国における大学(の設置主体)の破綻をめぐる法的スキームについて机上調査を行った。その結果、連合王国では、2017年に高等教育機関の倒産手続につき、一般事業体に適用される倒産手続の特則を定める法律が制定されていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献の収集について、新型コロンウィルス感染症流行の影響を受け、国内、国外とも現地調査を実施することができず、机上調査にとどまった。他方で、机上調査の結果、アメリカ合衆国及び連合王国について、これまで明らかになっていなかった事実が発見されたことから、「遅れている」とは判断しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、研究計画に沿って行いたいと考えているが、現地調査・実態調査については、新型コロナウィルス感染症流行が終息しだい、国内外で現地調査等を行いたい。もし、終息まで長引くようであれば、適切なデータベース等の有無を調査し、存在するようであれば、それを活用し、場合によっては、適切な研究協力者を探すこととしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症流行のため、予定していた海外及び国内での調査のための旅費を支出することができず、また、それに伴って、必要な外国文献を購入することができなかったため。次年度以降において、外国文献の入手、海外での調査等を行うことによって、適切なデータベースが利用可能であれば、それを活用することによって、使用する。
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