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2022 年度 実施状況報告書

近代日本の捕虜処遇と大正・昭和初期におけるその変容に関する政治史的考察

研究課題

研究課題/領域番号 21K18418
研究機関愛媛大学

研究代表者

梶原 克彦  愛媛大学, 法文学部, 教授 (10378515)

研究分担者 奈良岡 聰智  京都大学, 公共政策連携研究部, 教授 (90378505)
森 靖夫  同志社大学, 法学部, 教授 (50512258)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2024-03-31
キーワード捕虜 / 民間人抑留 / 難民 / 政治的敵対者 / 国際法 / 国際赤十字社
研究実績の概要

近代日本の捕虜処遇は明治・大正期には世界的にも稀なほど優遇策を採っていたことが知られている。しかしそれから20年も経たない昭和期には虐待の事例が目立ち、この「歴史的記憶」はいまなお関係国との間に大きなしこりとなって残っている。なぜ、いつ、近代日本の捕虜処遇は「厚遇」から「冷遇」へと劇的に変化したのか。従来の研究は大正後期から昭和初期(1918年~1930年代)にかけての事例を取り扱っておらず、この問いに答えることができなかった。本研究は、研究史上の欠落期間である(1)シベリア出兵(1918年~1922年)・山東出兵(1927年~1928年)・満州事変(1931年~1933年)における捕虜処遇状況を史料に基づき実証分析し、(2)近代日本の捕虜処遇をめぐるミッシングリンクの解明を目的としている。
この課題に対して、本年度は前年度に引き続き、満州事変から日中戦争勃発時に至る迄の国際赤十字社の活動に関する文献・資料に関する勉強会をほぼ週一回のペースで定期開催し、基礎知識習得と整理を行った。また、捕虜観の変遷について、各自が担当する時代の新聞記事での表記と含意に関する情報交換を随時オンラインでおこない、情報と研究進捗の共有を図った。
加えて、サラ・コブナー『帝国の虜囚』(みすず書房、2022年)、長與進『チェコスロヴァキア軍団と日本1918‐1920』(教育評論社、2023年)をはじめとする関係文献につき読解を各自進めていき、次年度の合評会開催の準備を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究対象の1つである1930年代に関する国際赤十字社と極東との関係について、基本的な事実を把握すると共に、史料状況を確認することができた。また日清戦争時の研究を進めることができ、捕虜観の変遷をより長いスパンで検討する素地ができた。

今後の研究の推進方策

研究書の合評会と研究報告を年3回をめどに実施すると共に、基礎文献・資料に関する勉強会を実施する。また今後は海外での個人の資料調査を実施予定である(COVID-19の感染状況と、資料収集実施国、日本政府及び所属機関の渡航方針に従い、これを検討する)。
成果公表については、個々人の資料紹介や論文執筆での展開はもちろんのこと、最終年度を踏まえ、総括として本研究ユニットでの海外報告も視野に入れつつ、準備を行う。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19の感染状況により資料収集活動に変更を生じたため。当該助成金は、今後の感染状況に応じつつ、感染症対策の緩和に鑑みて、次年度以降に国内外での資料収集活動を行う際に使用予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (2件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 第一次世界大戦と在独日本人の抑留問題(8)2023

    • 著者名/発表者名
      梶原克彦・奈良岡聰智
    • 雑誌名

      愛媛大学法文学部論集 社会科学編

      巻: 54 ページ: 1-26

  • [雑誌論文] 近代日本における『理念的外交』-第一次世界大戦期を中心に-2023

    • 著者名/発表者名
      奈良岡聰智
    • 雑誌名

      法学論叢

      巻: 第192巻1-6号 ページ: 218-248

  • [雑誌論文] 三間隆次のみた万国書籍印刷業博覧会(BUGRA)(二・完)2022

    • 著者名/発表者名
      梶原克彦
    • 雑誌名

      愛媛法学会雑誌

      巻: 49巻1・2号 ページ: 1-21

  • [雑誌論文] 第一次世界大戦と在独日本人の抑留問題(7)2022

    • 著者名/発表者名
      梶原克彦・奈良岡聰智
    • 雑誌名

      愛媛大学法文学部論集 社会科学編

      巻: 53 ページ: 1-24

  • [学会発表] マツヤマと世界大戦 松山収容所の通時性と共時性におけるドイツ兵捕虜2022

    • 著者名/発表者名
      梶原克彦
    • 学会等名
      ドイツ現代史研究会
  • [学会発表] 近代日本における『理念的外交』-第一次世界大戦期を中心に2022

    • 著者名/発表者名
      奈良岡聰智
    • 学会等名
      日本国際政治学会
  • [図書] ハプスブルク辞典(「オットー・ハプスブルク」担当)2023

    • 著者名/発表者名
      川成洋、菊池良生、佐竹謙一
    • 総ページ数
      814
    • 出版者
      丸善出版
  • [図書] 領海・漁業・外交―19~20世紀の海洋への新視点(執筆担当部分165-218頁)2023

    • 著者名/発表者名
      太田出・川島真・森口(土屋)由香・奈良岡聰智
    • 総ページ数
      416
    • 出版者
      晃洋書房
  • [図書] 思想史講義 戦前昭和篇(担当 第13講 「国家総動員論」(263~277頁))2022

    • 著者名/発表者名
      山口輝臣・福家崇洋
    • 総ページ数
      325
    • 出版者
      筑摩書房

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公開日: 2023-12-25  

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