研究課題/領域番号 |
21K18421
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中林 真幸 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (60302676)
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研究分担者 |
西谷 正浩 福岡大学, 人文学部, 教授 (80248468)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 荘園制 / 土地証券 / 加地子 / 加地子還元土地価格 / 法の保護 |
研究実績の概要 |
中世の荘園制においては,統治業務を提供する債務と,その業務の対価として収取することが認められる債権を組み合わせた職(しき)が,農民,武士,貴族の間に重層的に保有される,分散的な統治と所有の構造を持っていた。このうち,名主職(みょうしゅしき),作職(さくしき),百姓職(ひゃくしょうしき)と呼ばれる,地主層の職は,特に活発に売買された。中世中後期における生産性の上昇部分が,地主の職の請求権に加地子(かじし)として取り込まれた上,その売買は荘園領主の承認を必要とするため,安全資産であったからである。本研究の目的は,この地主の職の売買における価格決定の仕組みの解明にある。
具体的には,土地の生産性以上に,地主層の職の価格差が大きいという,これまでの学説が説明できていない事象を説明する仮説を立て,検証する。すなわち,加地子の成立と拡大によって説明できるとする仮説を検証することが目的となる。
そのために,地主層の職の売買契約(売券)のうち,売買価格のみならず,加地子の情報を含んだものを収集し,データベースを構築することが必要になる。しかし,加地子の記載がない場合も多く,また,記載法も必ずしも統一されていないため,現在は,東寺百合文書,鎌倉遺文,南北朝遺文から,売券と,当該売券に記載された別資料に記載された加地子の情報を含めて,データベース化し,その後に売券価格と加地子情報を接続する作業を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データベース入力補助者である学術専門職員が史料の構造に慣れるまでに若干の時間を要したが,学術専門職員の習熟度の上昇にともない,データベース構築作業が加速している。
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今後の研究の推進方策 |
現時点においては,計量分析を行う標本数が得られていないが,2022年度中に十分なデータ数を確保し,加地子の成立と拡大が売券価格を左右するとする仮説の検証に入る。その際には,伝統的な回帰分析に加え,頑健性点検のために,機械学習による推定も応用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により,データ入力補助に従事する学術専門職員が在宅勤務をせざるをえない状況にあったが,このことは,実際に中世史料をともに見ながら解釈し,データベースの構築戦略を立てる上で,少なからぬ障碍となった。2022年度からは出勤に戻し,作業効率を上げ,作業を加速させている。
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