研究課題/領域番号 |
21K18422
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
森田 穂高 一橋大学, 経済研究所, 教授 (00791956)
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研究分担者 |
小谷 浩示 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 教授 (80422583)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | テレワーク / コミュニケーション / 生産性 / 価値創造 / 実験 |
研究実績の概要 |
テレワークが、職場の人間関係のあり方に、更には、人々の生き方や価値観に及ぼす影響に関して、新型コロナ拡散開始後にテレワークを経験した人々を対象とした追加オンラインサーベイ調査を実施した。本追加調査では、2022年度実施した内容に加え、職場での縦(上司と部下)、横(同僚間)、斜め(他部署の同僚や上司)の人間関係の親密度、コミュニケーション、監督業務の変化に関する詳細な認知も新たな調査内容として加えた。追加調査で得た収集データの統計的分析を行い、2021年度のデータと同様の形で仕事内容を類型化(2×2類型:単純作業×創造的作業と個人作業×集団作業)し、オンライン環境における各類型仕事の生産性変化を計量経済分析・特徴付けした。予備的統計分析ではあるものの昨年度のデータ分析の結果と一貫性のある結果を得る事が出来た。又、その結果の統計的頑健性も確認している。特に、年功序列制度の下で働いている従業員の方が、成果主義制度の下で働いている従業員に比して、オンライン環境での生産性低下を認知している事、そして、単純個人・集団作業に比して創造的集団作業を遂行する際にオンライン環境での生産性低下を強く認知している事が2021年度の結果と同様の形で明らかになった。上記追加調査で得た新たなデータを更に活用し、オンライン環境における縦、横、斜めの人間関係の変化についての統計分析を進めた。しかし、この分析における結果の導出には、更なる統計分析とデータ整理を行う必要があり、追加で二ヶ月程の時間を要する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者と研究分担者が協力しつつ、オンラインサーベイの実施と結果の分析が進んだ。しかし、新型コロナウイルス拡散の影響によって対面での実験研究推進ができなかった。しかし、最終年度には経済実験の立案推進も問題無く出来ると予想される。
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今後の研究の推進方策 |
経済実験を実施し、対面環境とオンライン環境における仕事の生産性と創造性に関する実験実証結果を導出する。2021年度と2022年度に行った調査データを分析し、その成果を研究論文として纏めていく。当初の予定通り、対面環境とオンライン環境における仕事の生産性と創造性の経済実験を実施する。パイロット経済実験を行い、2023年半ばから後半にかけて本実験を実施、実験データの統計分析を行って論文作成を進める予定である。調査だけでなく経済実験を行う事により、同じ仮説に関してサーベイと経済実験という異なる2つの研究手法から得られるデータを一つの分析の俎上にのせる事が可能となる。こうした統一的な分析を用いる事で本課題の研究成果・結果の頑健性を検証し職場環境、生産性、創造性に関連する一般原理の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ拡散の影響で、研究代表者が研究分担者を高知工科大学に訪問しての研究推進を控えざるを得なかった。オンラインサーベイに関してはほぼ予定通りに実施できたが、並行して行う予定であった経済実験の立案推進に若干の遅れを生じた。令和5年度は対面による経済実験の立案と実施が可能となる事が予想されるので、当初の予定に沿い実験研究を推進する予定である。
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