研究実績の概要 |
本研究は、計量経済学と機械学習の一長一短を学術的に評価し、家庭の節電行動を事例とした無作為比較対照法(RCT)からなるフィールド実験から得られたビッグデータをもとに、因果性の識別を巡って、因果的機械学習の利活用を経済学において確立します。計量経済学の目的はパラメーターの推定と仮説の検定にあり、説明変数が被説明変数に与える効果の信頼区間を調べたりします。機械学習の目的は予測にあり、機械学習では予測誤差を最小化することが求められます。このように、計量経済学と機械学習は目的が異なるが、トップクラスの経済学者が機械学習を因果推論のツールとして融合を進めています。 本研究「因果推論を接着点にして経済学と機械学習の融合をはかる挑戦的研究」では、原因と結果を識別する因果推論を手がかりに、それぞれ独自の発展を遂げてきた計量経済学と機械学習の融合研究を推し進め、エビデンスに基づく政策形成(Evidence Based Policy Making: EBPM)という社会的要請に答え、新しい実証経済学の新境地を切り拓くことを目的とします。 研究方法は3年間に分けて、3ステップで行われます。1年目は、RCTフィールド実験による節電実験で、千規模の実証データを収集します。2年目は、コウザルフォレストを用いて、HTEを推定します。3年目は、推定結果から、個人属性毎に介入するべきかどうかのターゲティングを提案します。 ・2021年度の研究方法:提携電気事業者から1,000世帯の実証参加者を募って、節電量1kWhあたり100円を支払うリベート型節電実験を実施し、電力消費量データを収集します。
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