研究課題/領域番号 |
21K18439
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
高田 輝子 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 准教授 (30347504)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 流動性 / 需給バランス / 暴落予測 / 指値 / 確率密度推計 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「流動性需給のビッグデータのみに基づく高精度早期暴落予測法の開発」である。暴落の引き金となる流動性需給バランスの変動に着目し、約20年分のニューヨーク証券取引所全オープン指値注文表履歴から流動性需給曲線を推計し、その時系列変動や売買注文相関構造のパターンなどを局面別に分析し、発見事実を用いた暴落予測法を開発し、早期高精度予測を目指す。 本年度は、①暴落予測に有用な市場の需給バランス状態変化パターンを明らかにすると同時に、②次年度購入予定の大規模データ収集・格納・計算環境整備を行う計画であった。以下①~②のように上記目標を達成したことに加え、①の副産物として③を達成した。
①既有のOpenbook統計を使った流動性需給曲線形状比較分析により、需給バランスの変動パターンを可視化し、上昇トレンド期間のうちに、市場の不安定化及び暴落を予測できそうであることを確認できた。 ②大規模指値データであるOpenbookデータの拡充準備として、ニューヨーク証券取引所のサイトからデータを自動的に入手するためのシステム整備、及び、新規購入予定のネットワーク型ハードディスクに収集データを格納するシステム及び設定の準備、予定する分析についての大規模計算のデザイン・環境整備を行った。 ③①において発見した局面別市場変動パターンを活用したトレーディングシステムを提案し、その暴落回避性能の高さと収益性を示す結果を得た(論文投稿中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要欄に示した通り、交付申請書に記載した本年度の研究達成目標はほぼ達成され、副産物的な成果も得られたため、概ね順調なペースで進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、これまでの計画通りに研究を進めていく方針である。ただ、想定外の円安進行により、当初計画のままではOpenbookデータ予算が不足するリスクが出てきたことは、懸念点である。Openbookデータとネットワーク型ハードディスクの購入以外の予算を極力控えた上で、今後の円ドルレート見通しを慎重に見極めたい。当初研究計画の遂行に支障を生じさせないために、必要と認めた場合は、購入時期や購入対象期間の短縮、といった内容の変更により、対応するつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
1年度目の終わり頃にネットワーク型ハードディスクを購入予定であったが、円安傾向によりデータ購入予算不足になった場合の対応に備え、購入予定時期を延期した。円安は実質的に総予算を減らす効果をもたらす。今後の為替の動向を注意深く観察し、適切な購入タイミングを見極めたい。必要であればネットワーク型ハードディスクのスペックやOpenbookのデータ期間を抑えた購入を行う予定である。
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