研究課題
1.国内外の経年追跡データを活用した認知症予防支援に関する系統的レビューとエビデンス・テーブルの構築:認知症予防支援プログラムの開発過程、内容、評価に関する海外先進機関の実態把握、既存研究の系統的レビューとエビデンス・テーブルを構築した。開発研究を実施している研究機関を訪問し、情報交換と情報収集を行った。2.30年間追跡データベースを活用した認知症予防支援優先度導出システムの開発:1991~2020年に実施したのべ15万人の調査対象者の軌跡分析を実施し、生活機能推移の特性別に関連要因を検証した。具体的には、認知機能、身体機能、疾患、社会参加状況、主観的幸福感、支援状況などの生活に関する要因の経年的な推移の特性別に類型化し、軌跡分析を行った。さらに、そのモデルに基づき生活機能推移の特性別に認知症予防支援優先度導出システムを開発した。特に社会とのかかわりの状況に焦点を当て、近親者や社会とのかかわりなど、かかわりの領域別の経年的な変化が、認知症発症に関連する経年的な変化を明らかにした。3.認知症予防支援優先度導出システムに基づく支援プログラム試案の作成:国内外の認知症予防プログラムの開発過程、内容、評価の系統的レビュー、および30年間追跡データの認知症予防支援優先度導出システムの成果を活用し、次年度の妥当性及び信頼性の評価に向けた支援プログラム試案を作成した。認知症予防支援優先度導出システムで得られた根拠をもとに、対象特性別の支援プログラム試案を作成した。
2: おおむね順調に進展している
海外研究機関の訪問は遂行できなかったが、国内の研究はおおむね計画道理に遂行した。
1.支援プログラム実施前のベースライン評価:十分な面接訓練を受けた社会福祉士、保健師などの専門職により高齢者全数2,000名に対する調査を行い、プログラム実施前のベースラインとする。2.支援プログラムの実施:地区ごとにランダム割付を行い、プログラム実施群とコントロール群を設け、実施群に対して1か月間、本研究で開発された認知症予防支援優先度導出システムに基づくプログラムを実施する。コントロール群に対しては、従来型の支援プログラムを実施する。3.支援プログラムのプロセス評価、アウトカム評価:本研究開発プログラム実施群とコントロール群を比較しながら、プロセス評価、アウトカム評価を実施する。4.認知症予防支援優先度導出システムに基づく支援プログラムの最終版作成:プロセス評価、アウトカム評価に基づき、プログラムの内容や構成などについて検討し、認知症予防支援優先度導出システムに基づく支援プログラムの最終版を作成する。5.支援プログラムの活用モデルの提案と普及化に向けたマニュアル作成:住民、専門職などに向け、実際にプログラムを実施する際の方法、進め方のコツ、把握する必要のあるポイント、予測される成果などを詳細に解説したホームページを作成し広く利用可能とする。
COVID19感染拡大により訪問調査が一部出来なかったため、本年度繰り越して訪問調査を実施する予定である。
すべて 2021 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 備考 (1件)
The Journal of Nursing Research
巻: - ページ: -
BMC Geriatrics
巻: 22(1) ページ: 75
10.1186/s12877-022-02748-7
http://plaza.umin.ac.jp/~empower/cec/