本研究はのべ15万人におよぶ30年間の追跡データをもとに、経年的な生活関連要因の変化に注目し、その特性別に認知症予防支援の優先度導出システムを開発し、効果を実証することを目的とした。すなわち、認知機能、身体機能、疾患、社会参加状況、主観的幸福感、支援状況などの生活に関する要因の経年的な変化の特性別に、どのようなタイミングで、どのような種類の認知症予防支援が有効であったかを既存データから数値化し、最大効果発揮モデルを作成した。2022年度は下記について実施した。 1)支援プログラム実施前のベースライン評価:十分な面接訓練を受けた社会福祉士、保健師などの専門職により高齢者全数に対する調査を行い、プログラム実施前のベースラインとした。 2)支援プログラムの実施:プログラム実施群とコントロール群を設け、実施群に対して1か月間、本研究で開発された認知症予防支援優先度導出システムに基づくプログラムを実施した。コントロール群に対しては、従来型の支援プログラムを実施した。 3)支援プログラムのプロセス評価、アウトカム評価:本研究開発プログラム実施群とコントロール群を比較しながら、プロセス評価、アウトカム評価を実施した。 4)認知症予防支援優先度導出システムに基づく支援プログラムの最終版作成:プロセス評価、アウトカム評価に基づき、プログラムの内容や構成などについて検討し、認知症予防支援優先度導出システムに基づく支援プログラムの最終版を作成した。支援プログラムの活用モデルの提案と普及化に向けたマニュアル作成:住民、専門職などに向け、実際にプログラムを実施する際の方法、進め方のコツ、把握する必要のあるポイント、予測される成果などを詳細に解説したホームページを作成し広く利用可能とした。
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