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2021 年度 実施状況報告書

予防型地域政策のための統合データベースの開発と共創的域学連携プロセスの研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K18454
研究機関金沢大学

研究代表者

佐無田 光  金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (80345652)

研究分担者 板谷 智也  金沢大学, 保健学系, 助教 (10765192)
藤生 慎  金沢大学, 融合科学系, 准教授 (90708124)
平子 紘平  金沢大学, 先端科学・社会共創推進機構, 特任助教 (10562621)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2024-03-31
キーワード地域統合データベース / 産学官連携 / 地域政策デザイン / EBPM
研究実績の概要

本研究は、地域の多様性を鑑み、自治体が地域特性をデータで的確にとらえて、予防効果を発揮できるような地域政策を立案し、エビデンスに基づいて効果を検証しながら政策を進めていくための支援ツールを開発するものである。「共創的域学連携のプロセス」を、(1)健康の地域特性データの「見える化」システムの開発と地域福祉政策への利用、(2)高齢者データのまちづくりへの展開、の2つの領域において、異分野融合の研究チームによって実践的に検証していく。
2021年度においては、羽咋市と金沢大学とで共同歩調を採る体制を進展させ、①自治体の地方版相互戦略の中に大学との連携を謳うとともに、共同研究事業化した。②自治体から提供されたデータを大学側で分析しつつ、元のデータミスを発見し修正するなど、データ整備の一体化を進めた。仮想データ統合ツール「DYNATREK」を使って、健診データやレセプトデータの簡易統合が可能なシステムを導入した。③大学がハブになることで、民間事業者と行政の連携事業を複数立ち上げ、実証実験を開始した。個人同意を取りながら、住民の生活データ行動のデータを取り、それを市側で持つデータと連結させる準備を進めた。その際、自治体側の持ち出しはゼロで、そのまま社会実装にも繋げていける仕組みを予め構築している。④自治体からのデータ提供を受け、大学が研究成果を上げたものを、そのままでは研究目線になっているので、行政側で活用できる仕組みとして落とし込むための、データ再構築の仕組みづくりを、産学官連携のプロジェクトとして具体化させた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

数年来の連携関係を基にして、実証実験や社会実装を検証するステージが始まり、想定以上に研究プロジェクトの中身が進展した。特に企業が積極的に関わるようになったことが大きい。(1)「健康の地域特性データの見える化システムの開発」に関しては、当初、仮想データ統合システムを民間企業から購入して実験を進める予定であったが、むしろ企業が積極的に共同研究資金を提供してシステム開発を進めることになった。(2)「高齢者データのまちづくりへの展開」に関しては、民間保険会社と連携して、運転データから疾病の予兆を発見し予防に活かそうとする実証実験、及び、情報系企業と連携して、見守りタグを使った生活行動データ分析の社会実験がスタートした。自治体のデータ把握状況に課題が見つかったため時間のかかっている部分もあるが、総じて研究の進捗は順調といえる。

今後の研究の推進方策

引き続き、羽咋市と金沢大学とで実証実験・社会実装体制を構築しつつ、この過程を検証、スキームの一般化に取り組む。①組織的な連携体制の構築、②自治体と大学とのデータ整備・共有・利活用体制の構築、③民間事業者を交えた産官学の実証実験体制の構築、に取り組んでいく。
具体的には、現在、以下のような課題がある。第1に、自治体が保有するデータの連結について、データ種類・範囲を拡大することを市・大学双方が合意しているが、市側がそもそも庁内各部局に存在するデータを全て把握できていなかったり、国や県の指示で収集している統計について、内容の意図を理解できていないケースがある。そこで、データ連携の可能性を踏まえつつ、市と大学が共同で、庁内データの精査をR4に行う予定である。第2に、2021年度に導入した「DYNATREK」システムを活用して、統合されたデータベースを自治体・大学双方で活用する基盤を構築する。庁内統合データを使った政策立案の研修を、自治体と大学が連携して進めていく。第3に、産学官連携体制の下、個人同意を得て住民の生活行動データをとり、これを
庁内統合データと組み合わせて、健康予防政策や地域計画(防災・防犯、施設配置計画等)の立案に活用する。
以上の過程を社会科学的に検証することで、自治体が大学と連携しながら、エビデンスに基づいた政策形成(EBPM)の能力を構築していくプロセスを明らかにしていく計画である。

次年度使用額が生じた理由

「健康の地域特性データの見える化システムの開発」に関しては、当初、仮想データ統合システムを民間企業から購入して実験を進める予定であったが、むしろ企業が積極的に共同研究資金を提供してシステム開発を進めることになったため支出不要となった。また、新型コロナウイルス対策等のために予定していた出張等がなくなり、旅費の支出が大幅に減った。これらによって、本来支出する予定であった50万円超が次年度繰越となった。次年度は、自治体研修を通じた統合データの利活用等を進める予定であり、この実施(機器、人件費、旅費)に支出する計画である。

備考

本研究課題の元となっている異分野融合研究グループのHP

  • 研究成果

    (18件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 高齢化が進む石川県羽咋市における「看取り」の意識に関する研究2022

    • 著者名/発表者名
      板谷 智也, 戸上 央, 佐無田 光, 栁原 清子, 中井 寿雄, 加藤 穣
    • 雑誌名

      地域ケアリング

      巻: 24 (2) ページ: 57-59

  • [雑誌論文] 大規模地震災害発生直後における要配慮者の存在位置・ニーズ把握ツールの開発2021

    • 著者名/発表者名
      森崎裕磨,藤生慎,古田竜一,高山純一
    • 雑誌名

      土木学会論文集D3(土木計画学)

      巻: 76(5) ページ: I_259- I_266

    • DOI

      10.2208/jscejipm.76.5_I_259

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 大規模地震災害発生直後を想定した要配慮者の存在位置・ニーズ把握ツールの有効性に関する基礎的検討2021

    • 著者名/発表者名
      森崎裕磨,藤生慎,古田竜一,高山純一
    • 雑誌名

      土木学会論文集A1(構造・地震工学)

      巻: 77(4) ページ: I_649- I_658

    • DOI

      10.2208/jscejseee.77.4_I_649

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Development of a Radar Reflector Kit for Older Adults to Use to Signal Their Location and Needs in a Large-Scale Earthquake Disaster2021

    • 著者名/発表者名
      Yuma MORISAKI,Makoto FUJIU,Ryoichi FURUTA,Junichi TAKAYAMA
    • 雑誌名

      Remote Sensing

      巻: 13(10) ページ: online

    • DOI

      10.3390/rs13101883

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 地震災害時に避難に困難を伴う整形外科系疾患患者の地域分布に関する分析―石川県羽咋市の医療ビッグデータを用いた検討―2021

    • 著者名/発表者名
      森崎裕磨,藤生慎,高山純一,柳原清子,西野辰哉,寒河江雅彦,平子絋平
    • 雑誌名

      日本地震工学会論文集

      巻: 21(1) ページ: I_123- I_134

    • DOI

      10.5610/jaee.21.1_123

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 大規模地震災害発生直後に要配慮者が設置する存在位置・ニーズ把握キットの自動検出―YOLOv5と時系列SAR画像を用いた検討―2021

    • 著者名/発表者名
      森崎裕磨,藤生慎,諏訪太紀,古田竜一,高山純一
    • 雑誌名

      AI・データサイエンスシンポジウム論文集

      巻: 2(J2) ページ: 314-323

    • DOI

      10.11532/jsceiii.2.J2_314

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 地域に存在する災害時要配慮者把握のための情報検索システムの提案―国民健康保険データに基づいた検討―2021

    • 著者名/発表者名
      森崎裕磨,藤生慎,高山純一,平子絋平
    • 雑誌名

      AI・データサイエンスシンポジウム論文集

      巻: 2(J2) ページ: 232-240

    • DOI

      10.11532/jsceiii.2.J2_232

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 仮想データ統合ツール「DYNATREK」を用いた健康診断と医療費データ結合による記述疫学研究2021

    • 著者名/発表者名
      板谷 智也, 平子 紘平, 佐無田 光
    • 雑誌名

      地域ケアリング

      巻: 23 (12) ページ: 92-94

  • [雑誌論文] 石川県羽咋市における全住民基礎調査と「地域ニーズと資源のマッチングシステム」の開発2021

    • 著者名/発表者名
      板谷 智也, 平子 紘平, 佐無田 光
    • 雑誌名

      地域ケアリング

      巻: 23 (7) ページ: 72-75

  • [雑誌論文] 一極集中システムの延命か脱却か -地方創生に込められた2つの可能性2021

    • 著者名/発表者名
      佐無田光
    • 雑誌名

      生活経済政策

      巻: 298 ページ: 9-13

  • [学会発表] 要配慮者の存在位置・ニーズ把握キットの物体検出に関する分析―大規模地震災害時を想定した検討―2021

    • 著者名/発表者名
      森崎裕磨,藤生慎,古田竜一,高山純一
    • 学会等名
      第63回土木計画学研究発表会・春大会
  • [学会発表] 災害時要配慮者の存在位置・ニーズ把握システムの開発―大規模地震災害時を想定した検討―2021

    • 著者名/発表者名
      森崎裕磨,藤生慎,古田竜一,高山純一
    • 学会等名
      令和3年度土木学会全国大会 第76回年次学術講演会
  • [学会発表] 大規模地震災害発生直後における要配慮者の存在位置・ニーズ把握システムの構築―SAR画像および医療ビッグデータを用いた検討―2021

    • 著者名/発表者名
      森崎裕磨,藤生慎,古田竜一,高山純一
    • 学会等名
      第40回日本自然災害学会学術講演会
  • [学会発表] 災害時要配慮者の存在位置・ニーズ把握システムの提案―通信環境が途絶した大規模地震災害発生後を想定した検討―2021

    • 著者名/発表者名
      森崎裕磨,藤生慎,古田竜一,高山純一
    • 学会等名
      第64回土木計画学研究発表会・秋大会
  • [学会発表] 被災者の存在位置・ニーズ把握ツールの適用可能地域に関する分析―大規模地震災害時を想定した検討―2021

    • 著者名/発表者名
      森崎裕磨,藤生慎,古田竜一,高山純一
    • 学会等名
      日本地震工学会・大会―2021
  • [学会発表] プラットフォーム型経済と地域のプラットフォームに関する政策論的考察2021

    • 著者名/発表者名
      佐無田光
    • 学会等名
      日本地域経済学会2021年度西日本支部研究会
  • [学会発表] 一極集中システムの延命か脱却か:地方創生の二面性2021

    • 著者名/発表者名
      佐無田光
    • 学会等名
      財政学研究会2021年度冬シンポジウム
    • 招待講演
  • [備考] 地域包括ケアとエリアマネジメント研究会

    • URL

      http://care-area.w3.kanazawa-u.ac.jp

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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