研究課題/領域番号 |
21K18461
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研究機関 | 聖カタリナ大学 |
研究代表者 |
田中 顕悟 聖カタリナ大学, 人間健康福祉学部, 教授 (30340368)
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研究分担者 |
中野 一茂 皇學館大学, 現代日本社会学部, 准教授 (80517996)
益満 孝一 鹿児島純心女子短期大学, その他部局等, 教授 (40296372)
高沢 佳司 皇學館大学, 文学部, 准教授 (70781574)
尾崎 剛志 皇學館大学, 現代日本社会学部, 助教 (20446222)
村上 佳子 聖カタリナ大学, 人間健康福祉学部, 講師 (70772846)
小木曽 真司 聖カタリナ大学, 人間健康福祉学部, 講師 (10737901)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | Military Social Work / 自死予防 / レジリエンス / Moral Injury / 専門職養成プログラム |
研究実績の概要 |
本研究は、主に米国におけるMilitary Social Work(以下、MilSW)実践及び先行研究を基盤とし「生活者としての自衛官」に対する「職業文化」および「レジリエンス強化(「Moral Injury:道徳的負傷」の回復も含む)の視点に基づく、自衛官の「自死予防」に焦点化したソーシャルワークモデルの開発ならびに専門職養成プログラムの開発を目的とするものであり、社会福祉学ならびに臨床心理学を研究領域とする7名の学際的研究グループにより研究活動を展開した。 2021年度は、これまでのMilSWの先行研究経過(MilSWの全体像とU.S.Armyの自死予防対策ならびにMilitary Social Worker(以下、MilSWer)の活動全般と専門職であるMilSWer養成プログラム内容の共有と集約を行うことでMilitary におけるソーシャルワークの活動の必要性を確認し、Militaryにおける自死予防対策では、Military Cultureの理解と、Moral Injuryへの視点ならびにレジリエンス強化のための取り組みが重要であることが把握された。 また、自衛隊における自殺対策の変遷と現状に関する先行研究経過の把握と集約を進める中で、「援助要請行動」の知見の自死予防対策ならびに専門職養成プログラムへの活用について検討を進める必要性があることが確認された。 また、CSWE(全米ソーシャルワーク教育協議会)のMilSWer養成指針の翻訳・分析を行うことで、MilSWの展開(インテーク~ターミナル)においては、MilSWの支援対象者及びMilitaryという組織の特性に関する知識と、それをMilitaryという組織の中で展開するための技術が肝要であることが明らかになるとともに、自衛隊の特性を考慮したソーシャルワーク専門職養成プログラムの構築が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は7名の学際的研究グループで進めてきた。その中で、Zoomを用いてMilSW実践及び自衛隊の隊員支援の変遷と現状及びそれを元にした自死予防の視点に関したメンバー間の意見交換・共通認識の構築と、米国のMilSWにおける自死予防先行研究の翻訳・集約の対象の選定に時間を要したことが、研究経過の遅延の要因の一つと考える。また、当初予定していた「International Military Social Work Conference」のネットワークを活用した各国のMilSWの実践概要の把握については、Conferenceメンバーの変動ならびに他のプロジェクトのConference内の他のプロジェクトの進捗の関係もあり、今後調整を行うこととなった。しかしながら、レジリエンスに着目した自死予防対策の構築に向けた調査については、先行研究の集約の成果もあり2022年度の実施に向けた基盤の構築を進めることができた。また、U.S.Armyの管理者を対象とした自死予防ガイドブックおよび CSWE(全米ソーシャルワーク教育協議会)のMilSWer養成指針の翻訳・分析も当初の予定と比較すると遅れてはいるが進行中であり、2022年度内の集約・分析は可能と考える。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画では、2022年度はCSWE(全米ソーシャルワーク教育協議会)が作成したMilSWer養成指針の分析を予定しており翻訳・集約作業は進行中であるため、今年度内にさらに分析を進めていく予定である。また、各調査活動については、2グループに分けて実施する予定であり、先ず1グループ目は、米国のMilSWer養成課程大学院の教育課程内容の精査及び米国3軍と民間ソーシャルワーク機関(ロサンゼルス・ワシントンDC)における自死予防活動の実態調査(郵送及びリモート・インタビュー調査)について、調査対象の選定および調査依頼準備を進めている最中であり、調査票の作成を含め、今年度広範囲に実施を予定している。さらに、2グループ目は自死予防におけるレジリエンスをテーマとした調査について、調査対象の選定・調査票の作成を進めており、今年度後半に向けた調査実施に向けて調整を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、既存の物品による対応およびこれまで収集した資料の分析・集約が主になったことと、新型コロナウィルス感染拡大の影響からZoomでの対応となったため旅費等の使用の必要性が生じなかったため、当初の予定より大幅に減少した使用額となった。 また、2022年度については、国内外の各種機関等を対象とした複数の調査(リモートまたは郵送)を実施予定としているため、それにかかわる諸経費(例:海外機関への調査実施のためのコーディネーター等への依頼ならびに郵送費等)の支出を予定している。
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