研究課題/領域番号 |
21K18467
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研究機関 | 公益財団法人世界人権問題研究センター |
研究代表者 |
山野 則子 公益財団法人世界人権問題研究センター, その他部局等, 研究部長 (50342217)
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研究分担者 |
呉 永鎬 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (00781163)
田中 宏樹 同志社大学, 政策学部, 教授 (40388046)
川上 泰彦 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (70436450)
埋橋 孝文 同志社大学, 社会学部, 教授 (60213427) [辞退]
村上 正直 大阪大学, 大学院国際公共政策研究科, 招へい教授 (70190890)
惣脇 宏 京都産業大学, 現代社会学部, 教授 (80419845)
村井 琢哉 関西学院大学, 人間福祉学部, 助教 (80879700)
有江 ディアナ 公益財団法人世界人権問題研究センター, その他部局等, 専任研究員 (50816527)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 子ども / 子どもの権利理念 / 子どもの権利条約 / 子どもの貧困対策 / 教育と福祉の協働 |
研究実績の概要 |
これまでの国内外の先進的事例の検討を踏まえて、2022年度は、外国の先進的な取組みを実施している日本の自治体の活動について、ヒアリングを行い検討した。外国の法制度をそのまま取り入れるのではなく、その地域の実状に合う形で、かつ必要とされているニーズに合わせて設けられていた。具体的に、人の力・もの・しくみを生かしながら、時・人・組織を繋ぐ仕組みを構築し、母子保健から介護予防まで切れ目のない支援を行っている自治体の存在を確認した。 また、京都府及び京都市の現状と課題を検証するために、これらの自治体において実施されている子どもの権利保障のための取組みの活動報告を受け、検討を行った。京都府及び京都市は、子どもに関連した条例を設け、それらに基づき子どもに関連した計画の下で様々な政策を進めている。福祉と教育の連携については、連携を進めようとしている努力もみられ、教育と福祉が横断できることを目指した組織も作られていることを確認した。しかし、課題もみられた。その改善に向けた取り組みについては、それぞれの特性を活かした支援方法の必要性とともに、依然として縦割り行政で横のつながりが限定的であることが課題であるため、その阻害要因の検討が必要となった。 このように、2022年度は基礎自治体の市町村と広域自治体の都道府県、さらに政令都市のそれぞれがどのような役割を担い、どのように連携できるかについて検討した。また、これまでの研究より明らかになった子どもの権利保障に関する課題として、「国・都道府県・市町村・学校・地域社会・父母・子ども」という全体構造の連携が上手く機能していないことに対し、この全体構造の連携のスムーズな機能を妨げている要因 とは「何か」を 発見し、検討するために、京都府下において子どもの政策立案に携わった職員の方、また、現場で子ども政策を遂行する職員の方に対するWEB意識調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、当初予定していた対象地域への現地調査を行うことはできなかったが、オンラインによる研究会を開催し、国内の自治体の関係者を研究会に招き、報告と議論の場を設けた。これを通じて、子どもの権利理念に基づく自治体の政策・計画の遂行に際し、どのような問題点が共通にあるかを確認することができた。以上を踏まえ、各々の専門分野から研究を進め、その成果物は公表している。また、実態の調査を検証するために、意識調査も行っており、今後はその分析を行う。
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今後の研究の推進方策 |
2023 年度は、実施した意識調査の分析を行い、公表していく。また、これまで日本国内で既にヒアリングした先進的に取り組む自治体から得られた情報を参照しながら検討し、教育と福祉の現場において活用できる理論と実践の具体的な方法を提示できるよう研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は、国内移動をはじめ外国への移動も徐々に可能になった。しかし、学校や子どもに関連する機関への訪問・視察は現実的に困難であった。また、外国への調査の場合は帰国後の隔離期間があったため日程的にも難しかった。そこで、本研究課題の目的の検証のために、子どもの人権の理念が実践現場において意識され、活かされているか、また維持し続けるための政策に向けて、実践現場の構造を探り、困り感について検証するために、子どもに携わっている教育・福祉の職員を対象に、意識調査を行った。日程的に、2022年度末と2023年度の初めに行ったため、未使用額が発生した。2023年度は、未使用額分は、研究遂行のために有効的に使用していく予定である。
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備考 |
惣脇 宏(2022)「学習権と子どもの貧困」(2022年度人権大学講座) https://khrri.or.jp/publiclecture/univ/2022/schedule.html
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