研究課題/領域番号 |
21K18468
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
清野 絵 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 障害福祉研究部, 研究室長 (00584385)
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研究分担者 |
小野 栄一 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所, 研究所長 (80356732) [辞退]
大舘 千歳 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 病院(研究所併任), 看護部長 (60850998)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 身体障害 / 肢体不自由 / 衣料 / 衣服 / ファッション / 車椅子 |
研究実績の概要 |
本年度は、障害者の個別ニーズに対応した衣料の開発と利用ニーズ等の把握を目標とした。 具体的内容として、第一に、障害者の個別ニーズに対応した衣料の開発または改良を行った。方法として、これまでに行ったアンケート結果等から、当事者の意見や要望をふまえて看護師等が衣料の開発・改良案を作成し、身体障害者への聞き取りや試作品への意見をふまえ修正を行った。実際の開発や改良の作業には衣料専門職の協力を得た。最終的に、7点の開発と改良を行った。その内容は、下記のとおりである。①ハイカットシューズの改良(脱ぎ履きをしやすく)、②パンプスの改良(脱ぎ履きをしやすく)、③ブーツの改良(脱ぎ履きをしやすく)、④車椅子使用者用のレインジャケットの改良(蒸れの改善)、⑤車椅子使用者用の雨の日用のレッグカバーの改良(とめやすさ)、⑥車椅子使用者用のスキニージーンズ、⑦車椅子使用者用のフレアスカートであった。
第二に、身体障害者の衣服のリフォームを行っている企業を対象に、ヒアリングを行った。結果から、障害者の衣服の課題についての現状認識、企業が障害者の衣服のリフォームを行う工夫、普及の課題等が示唆された。今後、アンケート調査等に発展させていく予定である。
本研究は、機能障害や体型変化により障害に配慮した衣料が必要である身体障害者のニーズに基づいて実際の衣料を開発し、その工夫を示したという点で実践的意義がある。特に、これまで先行研究やアンケートで、障害者からの要望が多かった、靴について、改良案を示し、具体的な意見や要望を把握できた。さらに、開発・改良した衣料を提示した上で、身体障害者やその介助者から衣料の課題やニーズ、開発した衣料をふまえた新たなニーズを明らかにした点が重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の計画は、①衣料の効果の検証(10名・開発3か月後の行動、意欲等の質問紙調査)、②普及のための身体障害者の実態把握(100名・質問紙調査)、③普及のための衣料専門職や生産・販売者の実態把握(50名・質問紙調査)であった。①については、COVID-19の影響で障害者のモデルを設定できなかったが、代替手段として7点の衣料の開発・改良案を作成して、障害者の意見を収集した。それにより効果が一定程度検証できたので、結果を次の開発・改良に反映させることができる。②については、昨年度に続き質問紙調査を実施し障害者等から回答を得られた。③については、質問紙調査は実施せず、まず個別の事業者にヒアリングを行い、実態把握を行った。来年度に、質問紙調査を行う予定である。そのため、やや遅れていると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に沿って研究を進める予定である。ただし、COVID-19流行後の状況によっては、身体障害のある人への直接の聴き取りや、身体障害のあると衣料専門職との直接の打ち合わせが難しい場合あるので、その場合は、代替的な研究方法を用いて実施する。また、本年度に行う予定であった企業等を対象とした実態調査の質問紙調査を来年度に行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
【当該助成金が生じた状況】COVID-19の影響より予定していた障害者をモデルとした衣料開発や、開発・改良した衣料の成果発表を行えなかったため支出が少なかった。また、予定していた企業等への質問紙調査を今年度はヒアリング調査に変更したため支出が少なかった。それぞれ代替手段で研究目標は達成した。【翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画】企業調査を実施するとともに、衣料開発をさらに進めるのに使用する予定である。
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備考 |
研究成果を発表し、障害者からの意見、要望を収集する取組を行った。
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