研究課題/領域番号 |
21K18476
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
安部 郁子 福島大学, 人間発達文化学類, 特任教授 (60899657)
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研究分担者 |
内山 登紀夫 大正大学, 心理社会学部, 教授 (00316910)
鈴木 さとみ 大正大学, カウンセリング研究所, 研究員 (00648561)
川島 慶子 福島学院大学, 公私立大学の部局等, 客員助教 (10773939)
松浦 直己 三重大学, 教育学部, 教授 (20452518)
行廣 隆次 京都先端科学大学, 人文学部, 教授 (60240628)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | 乳幼児健診 / 災害支援 / 発達支援 / 保護者支援 |
研究実績の概要 |
H23年3月に発生した東日本大震災後の東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、原発事故)による避難の影響を受けた地域A、Bに居住する子どもの実態把握(研究1)と子どもの発達特性に関する経時的把握のためのシステム構築(研究2)を目的とする。比較対照群として、福島県内陸部で震災の影響の少なかった地域Cにおいても同調査を実施する。地域A~Cは、医療機関や専門職が不足する点では共通しており、研究2では平時にも役立つ支援システム構築の検討に役立てる。 本研究の対象は、発災年(H22年度)とその翌年(H23年度)に生まれた子どもとその保護者であり、計測データには、対象児の①1歳半と②3歳半乳幼児健診問診票のデータ、我々が実施した③小学2年生時、及び④小学5年生時の母子のメンタルヘルスと行動、環境に関する調査項目を用いる。 本年度は、既に我々が震災以降から継続的に採取してきた対象児及び比較対照児の乳幼児健診問診票のデータの整理と紐づけ作業、分析を行うと共に、対象地域Aの教育委員会の協力を得て小学2・5年生の保護者向けアンケートの配布回収を行い、小学2年生349名中85名(回収率24%)、小学5年生319名中71名(回収率22%)の回収を得た。現在、①~④のデータ整理と紐づけを行っている。 研究2:対象地域B・Cでは、市町村の教育委員会、母子保健担当課、福祉課等の関係者を一同に会し、これまでの調査結果を踏まえ子どもの経時的な変化に関する報告を行うと共に、データベース構築に関する情報を共有した。次年度は、各課の担当者を選定し、実際にシステム構築に向けて現場での活用を踏まえたデータの保管方法や内容の検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1に関する乳幼児健診に関するデータ採取と小学校2・5年生のアンケート調査は、対象地域A・Cでは既に終了している。対象地域Bは、原発事故の被害が大きかったため地域特性を踏まえて幼児期及び学齢期に関する採取データを変更し実態把握を行う予定である。発達支援システム構築に向けたミーティングの開催は、地域B・Cにおいて第1回目を開催し、関係部署の理解を得ると共に次のステップに進めるための担当者打ち合わせを行う。地域Aは既に多くのデータが蓄積されているため、それらの具体的活用を目指したシステムづくり及び個人情報の取り扱いに関する検討を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2年目(最終年度) 研究1は、対象地域A・B・Cので①1歳半健診、②3歳児健診、③小学校2年生(子育てアンケート)、④小学5年生(子育てアンケート)のデータを採取すると共に紐づけ作業の上、統計解析を行い、震災後の子どもの発達と行動、保護者のメンタルヘルスに関する経時的変化について検討を行う。 研究2は、対象地域A・B・Cの進捗状況に従い、各地域における乳幼児健診から学齢期までの発達に関するシステムのデータベース化に向けた関係者ミーティングの実施を開催する。研究1・2の結果を踏まえ、緊急・災害時に備えたデータベースを活用した子どもの発達支援システムの構築に関する取り組みをまとめ、緊急災害時に備えつつ日常的な支援に活用可能なシステムの在り方についてマニュアルを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ入力、解析に時間を要し令和4年度にも継続して実施する。それをもとに令和4年度にマニュアル作成、システム開発の費用として執行する。
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