触運動感覚を活用した分数学習教材の開発・評価研究を実施した。視覚障害教育を専門とする大学教員および大学院生による協議に基づき、子どもが直感的に操作しながらイメージ化することのできる触運動感覚に依拠した分数学習教材を作成・開発した。盲学校中学部の盲生徒8名を対象に、点図を用いた介入指導と開発をした操作可能な教具を用いた介入指導の二種類の介入指導をクロスオーバー法で実施した。その結果、計算の仕組みの原理・原則については点図介入指導と教具介入指導によって課題を達成した協力者の人数に、ほとんど差がみられなかったが、立式については介入指導前にわられる数とわる数を誤って逆に認識していた協力者2名が教具介入指導によって正しい回答を述べることができた。このことから、操作可能な教具は立式の際に、わられる数とわる数を適切に認識する上で効果的であることが示唆された。加えて、内省の聞き取りにおいても操作可能な教具を支持する回答が多数みられた。操作可能な教具がイメージ形成の一助となった旨を示す「立体的に操作できるのが、イメージに繋がる」や「わる数が円の形になっており、正円にすれば数が求められるという仕組みがわかりやすい。」といった回答も得ることができた。実際の指導法としては、操作可能な教具の教授法(手順)が複雑であること等の課題が明らかになった。 漢字書字教材については、パワーポイントを用いた初等教育出現漢字全てについて動的呈示による教材を弱視通級指導教室教員、視覚障害教育を専門とする大学教員および大学院生による協議に基づき作成し、それらについて学会にて報告した。また、ホームページからダウンロードして活用可能なコンテンツ、「動く漢字筆順教材」として教科書の単元順に整理し、全国で利用可能な教材として完成をさせた。
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