研究課題/領域番号 |
21K18486
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
石田 祥代 千葉大学, 教育学部, 教授 (30337852)
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研究分担者 |
中道 圭人 千葉大学, 教育学部, 准教授 (70454303)
是永 かな子 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (90380302)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 優秀児 / ギフテッド / インクルーシブ教育 / 北ヨーロッパ |
研究実績の概要 |
インクルーシブ教育の理念は学校で困難を抱える優秀児にとっても機能するかを学術的問いとし、基礎研究としての優秀児概念の検討と日本の小学校で優秀児が抱える教育的課題の分析を行う。同時に、インクルーシブ教育が実践に結びついている北ヨーロッパにおける優秀児への支援システムの知見から、優秀児への教育的支援の展望を提言する。 2021年度は「日本の小学校で優秀児が抱える困難と、誰がどのように対応しているのかを整理する」ことを研究課題1とし、不登校や教育的課題を抱える若者支援を行うNPO法人を対象に予備調査を実施し論点整理を行った。また、小学校教諭を対象に質問紙調査を行い、現在、結果を分析しているところである。 加えて、「北ヨーロッパの小学校における優秀児の支援システム・教育プログラムを明らかにする」ことを研究課題2とし、スウェーデンにおける優秀児の教育的支援を分析した。その結果、スウェーデンでは優秀児の教育支援は、「個に応じた教育」保障の一環として、通常教育の枠内での、特別な教育的ニーズのある子どもへの適応教育や教育の差異化として位置づけられることが明らかとなった。また、多様な教育的ニーズのある子どもとして優秀児を定位し、排除の逓減をめざしつつ教育的支援を具体化する方略をとっていることが分かった。この方略の背景には、全ての子どもに包摂的かつ公平で質の高い教育を提供する「インクルーシブ教育」の理念があり、スウェーデンでは全ての学校における優秀児に対する教育的保障をめざしていることが伺えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度の研究計画に沿って、文献研究と調査研究を計画どおりに実施できた。日本における研究動向は現在資料の分析をしており、かつ小学校を対象とした調査研究は終了し、現在結果の分析を行っている。今後は分析と検討をさらに進め、成果を公表することを計画している。さらに、北ヨーロッパにおける研究についてはスウェーデンについての分析が終了し、研究成果を既に公表している。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題1「日本の小学校で優秀児が抱える困難と、誰がどのように対応しているのかを整理する」については、優秀児の母親を対象とした質問紙(ウェブ)調査(量的調査)と支援者(民間学習塾、民間放課後デイセンター、スクールカウンセラー)を対象とした聞き取り(オンラインを含む)調査を実施する予定である。 研究課題2「北ヨーロッパ小学校における優秀児の支援システム・教育プログラムを明らかにする」についてイギリスとフィンランドについての分析を行う計画である。フィールド調査を実施する計画であるが、状況を勘案し、文献調査やオンライン調査への計画変更を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は北ヨーロッパにおけるフィールド調査を計画していたものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響で断念せざるを得なかった。2022年度に繰越し、北ヨーロッパにおけるフィールド調査を実施する予定である。
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