研究課題/領域番号 |
21K18487
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
松尾 七重 千葉大学, 教育学部, 教授 (70292654)
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研究分担者 |
中和 渚 関東学院大学, 建築・環境学部, 准教授 (00610718)
森 薫 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (90624859)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 幼児算数教育 / パターン / 形遊び / リズム遊び / 幼小接続 / 教科総合 / カリキュラム / 国際比較 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は就学前の年長児が積み木を使った遊び、音楽のリズム遊びを行うことにより、数と図形に関するパターン認識能力を高め、それにより小学校1年生における算数の計算力や規則性の発見力を向上させることを明らかにし、その成果を国際的に発信することである。そのために、以下の4つの課題に取り組む。(1)幼児期の子どものパターン認識能力の実態を解明する。具体的には、パターン認識能力を捉えるための臨床的インタビューを計画し、幼稚園の年長児を対象として実施し、このインタビューを録画し、その分析を行う。(2)積み木遊び、リズム遊びを通じて行う算数的活動のプログラムを開発する。(3)プログラムの実施後にパターン認識能力に関わる臨床的インタビューを実施し、プログラムの効果を検証する。(4) (2)及び(3)と同様に、積み木遊びプログラムとリズム遊びプログラムの実施とその前後におけるインタビューを、ザンビアで実施し、プログラムの効果を検証する。 今年度は、その計画の中で、以下のことを実施した。積み木・色板を使った形遊びのプログラム(図形プログラム)及びリズム遊びのプログラム(音楽プログラム)を構想し、東京都の幼稚園年長児17名に対して、1回10分から15分の活動を各々10回ずつ予備的に実施した。このプログラムを実施する前に、パターン認識力と計算力に関する臨床的インタビューを実施した。担任の保育者がプログラムを実施し、園長が相談役となり、また、実施中の幼児の様子を観察・記録した。その後、保育者に対してプログラム実施に対するインタビューを実施し、プログラム実施上の問題点やパターン認識能力及び幼児の成長についてたずね、 改善点を明らかにした。その結果、子どもの個人差が大きいものの、意欲的に粘り強く取り組めるようになり、多くの幼児がパターンを認識することができるようになることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は就学前の5歳児が形遊び、リズム遊びを行うことにより、数と図形に関するパターン認識能力を高め、それが小学校1年生における算数の演算能力や規則性の発見力を向上させることになることを明らかにし、その成果を国際的に発信することである。この目的を達成するために、本年度は、幼児期の子どものパターン認識能力の実態を解明するために、5歳児に対するパターン認識に関わる事前のインタビューを行った。また、形遊び、リズム遊びを通じて行う算数的活動のプログラムを構想し、予備実践を行った。また、プログラムの実践者に対するインタビューを実施し、今後のプログラム改善への示唆が得られた。このように、当初の計画通り、実践できている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は就学前の年長児が積み木、色板を使った形遊び、音楽のリズム遊びを行うことにより、数と図形に関するパターン認識能力を高め、それにより小学校1年生における算数の計算力や規則性の発見力を向上させることを明らかにし、その成果を国際的に発信することであるが、既に形遊びとリズム遊びの予備実践を実施していることから、今後は、2021年度に幼稚園で形遊び,リズム遊びのプログラムに参加した2022年度の小学校1年生に対して、パターン認識能力の実態を解明するための質問紙調査を実施する予定である。この結果を分析し、形遊び,リズム遊びのプログラムの効果を検証する。また、それを踏まえて、形遊び,音楽のリズム遊びのプログラムの修正を行い、1回30分の計10回の形遊び,音楽のリズム遊びのプログラムの本実践を行う。また、その実践前にパターン認識能力に関わる臨床的インタビューを実施する。2023年度には、その効果検証を行い、その結果を踏まえて、ザンビアでプログラム実施し,その効果を検証する。その結果を基に、形遊び,リズム遊びを通じて行う算数的活動のプログラムを開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、調査実施園が限定されたため、教材費や旅費の支出が減少した。また、研究発表がオンラインとなり、旅費の支出が減少した。来年度は、調査実施園を増やして取り組む予定である。
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