研究課題
本研究の目的は、感情マネジメントを考慮した実効性あるヘルスコミュニケーションの方法を確立し、認知・感情発達を考慮したヘルスリテラシーや危機状況への対応力を育成することにある。研究期間中に以下3点を明らかにする。1) 児童期・青年期のヘルスリテラシーの構成要素, 2) 児童期・青年期のリスク認知,3) 感情、健康行動の関連を明らかにすることを計画している。2021年度は、教育場面における課題探索と仮説構築をめざし、ヘルスリテラシー構成要素に関する文献研究、健康教育プログラムのフィールド調査や資料収集(e.g. European Health Psych Society)による国内外の動向調査、教育実践者からの聞き取り調査, フレーミング効果に着目したヘルスコミュニケーション教材の(パンフレット、掲示物)の効果の検証を行った。インフルエンザ予防接種行動の促進に有効な情報提供をとりあげ、インフルエンザ予防接種意図に対して、フレーミングをかえた教材2種類(インフルエンザ予防接種のメリットの強調:利得フレーム)、受けないことのデメリットの強調:喪失フレーム)を使用し、視聴後にインフルエンザ予防接種意図の程度を測定し、その成果を発表した。さらに、健康行動実施に関連すると考えられる、感情マネジメントの発達に関して、児童・生徒の感情リテラシーの発達に関する調査準備、学校教育場面での社会感情教育のありかたについての検討を行い、成果発信を行った。リスク認知の発達の検証については、COVID-19の影響を排除することが難しいと判断され、文献研究と2022年度に実施する調査の準備に集中することとした。
3: やや遅れている
2020年度に引き続き、COVID-19の影響が各所にあり、研究遂行への影響が懸念されたため、データ収集が遅れている。
2022年度は、COVID-19に関してはワクチン接種が普及し、行動制限も緩和の方向に向かっていることから、リスク認知の発達、健康教育のフィールド調査の実施が可能になるものと思われる。2021年度に保留にしてきたデータ収集を2022年度に実施する予定である。
次年度使用額が生じた主要な理由は、以下2点である。1)COVID-19の感染拡大が収束せず、本研究が鍵概念としているリスク認知やヘルスコミュニケーションの対象がCOVID-19となりその影響が排除できないこと、感染症の対応のための行動制限のために調査が困難になることから、データ収集を見合わせた。2)動向調査を予定していた学会の多くが、COVIDのためにバーチャルとなったり、開催年にずれが生じてきているため成果発表のエントリーが行えず、学会参加が不可能となった。2022年度は、COVID-19の状況は好転しつつあることから、2021-2022年度の計画を実施していく計画である。
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BMC psychology
巻: 9 ページ: 100
10.1186/s40359-021-00602-w