研究課題
本研究の目的は、感情マネジメントを考慮した実効性あるヘルスコミュニケーションの方法を確立し、認知・感情発達を考慮したヘルスリテラシーや危機状況への対応力を育成することにある。研究期間中に以下3点を明らかにする。1) 児童期・青年期のヘルスリテラシーの構成要素, 2) 児童期・青年期のリスク認知,3) 感情、健康行動の関連を明らかにすることを計画している。2022年度は、仮説構築をめざし、ヘルスリテラシー構成要素に関する文献研究、国内外の動向調査、教育実践者からの聞き取り調査を行なった。発達的特徴と健康行動の関連を探索するため、中学生高校生が日常的に経験する口腔衛生行動をとりあげ、リスク認知をはじめとする口腔衛生行動の関連要因の検証を目的としたパネル調査の準備を行なった。2023年度に2時点の調査を実施する予定であり、倫理申請準備を整えた。さらに、健康行動に対して生涯発達の観点からアプローチするため、中高年において有病率が高い疾患を特定し、リスク認知や疾病に関する脅威の治療遵守に及ぼす影響の検証に着手した。対象疾患として緑内障をとりあげ、治療遵守行動の理論的フレームワークを選定し、仮説モデルを構築、その実証のための調査準備を行い、他競争的資金によるプロジェクトに加えて1時点めの調査を実施した。2400名の緑内障患者を対象に実査を行い、予備的解析を行なった。2023年度に2時点めの調査を実施を予定している。
3: やや遅れている
2022年度は、コロナウィルス感染症の位置付けが2類相当であり、さまざまな疾患に対するリスク認知からその影響が除外できないと判断し、実査開始を2023年度に持ち越すこととした。そのため、データ収集が実現しておらず、全般的に進捗状況が遅れていると判断した。
2022年度中に調査の実査準備は整っており、2023年度は実査とデータの解析、成果発信を進めることが可能と見通している。したがって、2023年度は計画どおり研究を推進していく予定である。
本課題では、疾病に関するリスク認知を扱う。2022年度まで、新型コロナウイルス感染症が第2類に位置付けられており、このことが感染症やそれ以外の疾病に関するリスク認知に影響を与えたと考えられた。このため、感染症の推移をみながら調査を実施しようとしていたが、残念ながら2022年度中には感染症の位置付けが多く変わらなかったため、2022年度中の実査と成果発表を見送ったために、次年度使用額が生じた。2023年度中に、2時点の調査の実施と解析、成果発表準備を進める。同時に、リスク認知に関する国内外のitoも行う。
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ヒューマンスキル教育研究 秘書サービス接遇教育学会
巻: 31 ページ: 48-54