研究課題/領域番号 |
21K18500
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
李 敏 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 准教授 (30531925)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 外国人の子ども / 子育て戦略 |
研究実績の概要 |
本年度は、「高度外国人材」としての日本に定住した中国人元留学生、およびその子どもを対象に、①日本語力が高く、日本社会への適応能力が比較的に高い外国人ルーツのこどもの教育実態と教育問題、②独自の教育期待を実現するための教育戦略、さらに③子どもの教育戦略が子ども本人の教育達成への効果、また親である元留学生のキャリア設計への影響について先行研究と予備調査を実施した。 本年度は主として関係の先行研究の整理を行い、現段階の研究の成果を把握することができた。主な視点は下記の通りである。①外国人(外国ルーツ)の子どもの中に、日本語力の不足及び家庭文化資本の欠如などの原因で、学力が低いという要支援の子どもが多い。②語学力よりも、個々の家庭、特に保護者の学力、進学期待などのような文化資本が子どもの教育達成に大きな影響を与える。このように、外国人(外国ルーツ)の子どもが日本の学校では、不利な立場に立たされている弱者であるというように描かれているのが多い。 一方、研究チームの予備調査の中では、中国人元留学生の子どもの教育が先行研究と異なる特徴を呈していることが明らかになった。①インタビューした中国人元留学生は80年代後半~2000年代に日本の大学院に留学した人が多く、学位取得後は研究、技術、経営などの専門職、技術職、経営職に従事することが多い。したがって、日本社会に高度にコミットした中産階級が多い。②子どもの教育に特に熱心し、指導する学力と財力を持っている。③子どもたちがインタナショナルスクールよりも公立、私立学校に進学するのが多い。習い事、通塾率が極めて高い。成績優秀者が多い。④子どもに中国語、中国の伝統文化の習得だけでなく、英語などの外国語の習得にも力を入れている。擬似的日本人よりも、国際人に成長してほしいという共通的な特徴が見られる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
採択の決定が年度中なので、研究のスタートが遅れた。 コロナの関係で予定したのインタビューがすべて実施することができなかった。 異動があったため、関係の仕事の処理のために、研究に十分時間を割くことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度には、インタビュー対象者を通して、雪だるま式に増やした調査対象者及びネットワークを対象に聞き取り調査を実施する。それと同時に、中国国内発の海外中国人向けのオンライン教育サイトに対して、海外中国人のニーズに合わせた取組およびその効果について調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、予定していた海外出張に行くことができなかった。 次年度使用額は予定どおり海外出張旅費、ヒアリングなどの調査関係の費用として使用する予定である。
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