研究課題
本研究は,研究代表者(大島純)と, Univ. of HelsinkiのProf. Kai Hakkarainen,Univ. of Wisconsin at MadisonのProf. David W. Shafferを国際研究協力 者として迎え,3名で実施する.大島は,これまで学習者の対話場面で,共起する重要単語の関連性に着目した社会ネットワーク分析を開発し,知識創造実践の 「アイディアの変遷」を捉える分析手法を提唱している.Prof. Shafferのチームは,詳細なエスノグラフィー研究に基づく,対話のコード(文化的意味)の共起を ネットワークとして表象するEpistemic Network Analysisを提唱している.また,言語データと同時に表出される身体的行為や創出される人工物などを加味した 時系列分析の重要性をProf. Hakkarainenのチームは強調し,Making-Process-Rug Video Analysisを提唱している.これら,異なる分析アルゴリズムが持つ長所と短所を適切に比較検討するためには,同一のデータセットを共有し,それぞれの分析手法で分析し,その結果を議論する必要がある.そこで本研究では,フィ ンランド,アメリカ,日本で展開する知識創造型学習の分析アルゴリズムの研究を,それぞれのチームが展開する実証研究で収集するデータを英訳して共有 し,各自の分析アルゴリズムで分析,その結果を研究ミーティングで共有議論するサイクルを展開し,最終的な知識創造型学習分析アルゴリズムを構築する.第 一年度は,お互いの発表論文で利用したデータセットを共有し,その分析結果を議論した.それを受けて,第二年度は言語データの解析アルゴリズムの統合に加えて,非言語行動のデータの導入について実データを元に部分的に分析した結果を共有することでさらに議論を深めた.
2: おおむね順調に進展している
当該年度は,COVID19による出張が徐々に解除され,予定していたミーティングを行うことが可能となった.Univ. of Wisconsinのprof. David Shafferとは10月にデンマークにおいて議論を行い,それをふまえて2023年の3月にはフィンランドを訪問し,prof. Kai Hakkarainenとさらに情報を共有することができた.
最終年度となる2023年度は,これまでの成果を国際学会で発表し,さらに論文の執筆に向けた活動を並行して行う.そのためには,更なるデータの分析や新しいデータ収集のための実験が必要であり,着実にそれらを展開する.
運営費交付金の支出や国際共同研究者側からの招聘などによって,予定していた国際共同研究者打ち合わせ会議のための支出が充足されたため,2022年度までの支出予定の経費は最終年度の成果発表や,共同研究打ち合わせのための旅費として支出予定である.
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
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