研究課題/領域番号 |
21K18515
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
八木 信一 九州大学, 経済学研究院, 教授 (10334145)
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研究分担者 |
荻野 亮吾 佐賀大学, 学校教育学研究科, 准教授 (50609948)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | ポスト地方分権改革 / 公民館 / 地域自治組織 / 橋渡し組織 / 学習する地方自治組織 / 飯田市公民館活動記録 / 社会関係資本 / エンパワメント |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、ポスト地方分権改革期にあたる現在、地域に根ざした集合的学習組織である公民館の新たな可能性について、長野県飯田市を事例として明らかにすることである。とくに、地方自治法上の地域自治組織の導入がもたらした変化に着目し、住民自治と団体自治との「橋渡し組織」という観点から、公民館を「学習する地方自治組織」として描き直すための理論構築と、それに基づいた分析を学際的研究として進めていく。
研究計画初年度であった本年度は、研究協力者である木下巨一氏(長野県生涯学習推進センター所長、元飯田市公民館副館長)の助言を受けながら、次年度以降の調査の基礎資料とするために、『飯田市公民館活動記録』に記載されている地区公民館に関する情報のうち、これまでに調査を行ってきた地区の地域自治組織導入後を対象に、学級・講座と専門委員会事業等に区分けしたうえで、整理と分析を行った。
また、理論構築においては、社会関係資本の概念を用いて、地域自治組織導入前の地域における社会関係の構造的・認知的特性を把握した。そして、このことによって「橋渡し組織」としての公民館の役割の一端を明らかにした。さらに、「学習する地方自治組織」の分析枠組みに関連して、住民個人、住民自治組織、そしてコミュニティ(地域社会)の三層のエンパワメントの関係とエンパワメントの評価方法について、農山村計画分野、都市計画・まちづくり分野、および社会心理学分野の研究レビューを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で、当初計画していた飯田市での研究打ち合わせや準備調査は、すべて断念せざるを得なかったが、オンラインを活用した研究打ち合わせを活発に行ったことによって、理論構築のための文献調査がほぼ予定通り進んだことに加えて、今後の調査の基礎資料として位置づけている『飯田市公民館活動記録』の整理と分析が、地域自治組織導入後分については、ほぼ終えることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(令和4年度)については、地域自治組織導入前(平成3年度以降)を対象とした『飯田市公民館活動記録』の整理と分析を行い、飯田市での調査を進めるための基礎資料を完成させる。また、研究協力者や飯田市関係者との間で、それまでの研究成果を踏まえた学習会を行い、あわせて準備調査を進める。さらに、本年度に進めてきた社会関係資本、橋渡し組織、およびエンパワメントを中心とした理論構築を深化させる。
そのうえで最終年度(令和5年度)については、準備調査等の結果として選定した対象地区や対象者(公民館主事経験者を含む)にヒアリング調査(および必要に応じてアンケート調査)を実施する。そして、それらの調査結果を踏まえて、「橋渡し組織」としての公民館の役割について研究分担者が中心となって検証を行う一方で、「学習する地方自治組織」の理論化を研究代表者が中心となって完遂させる。そのうえで、学会等での報告に加えて、飯田市関係者に対して最終成果報告会を開催し、意見交換等を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用が生じた理由は、当初予定していた飯田市での打ち合わせ、準備調査、ならびに資料収集が、新型コロナウイルスの感染状況のために、すべて断念せざるを得なかったからである。これらの未実施分は、次年度に適宜使用する計画である。
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