本研究の目的はHCI(ヒューマンコンピュータインタラクション)技術および機械学習を統合した技能忘却モデルの構築およびAI学習支援基盤の構築である.ピアノ・書写・イラストなどの身体を伴う技能の習得には多大な時間と労力がかかる.しかし,技能を習得した後に,練習しなくなると,技能は徐々に衰退し,最終的に忘却(習得した技能ができなくなってしまうこと)する.そこで本研究は初心者を対象とした技能忘却モデルの構築をめざす.このために,音楽ゲームを対象にしたデータセットを構築した.具体的には,Webブラウザでプレイできる音楽ゲーム「スペアビート」の楽曲を対象とし,被験者の実力に適した難易度より少し難しい楽曲に対してスコアの低い状態から一定のレベルまで上達するまで毎日練習してもらい記録した.その後,練習を休止し一週間以上練習しないという練習休止期間を設けて,練習休止期間が明けた直後にプレイした時のスコアを記録した.このセットを何度も繰り返すことで忘却におけるスコアの変化を記録した.5名の被験者に本実験に参加してもらい,技能習得フェーズのスコアの変化と忘却フェーズのスコアの変化を分析することで,3種類の忘却パターンを発見した.
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