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2023 年度 実施状況報告書

ムードチェンジャー役ロボットによるいじめの予防・抑制に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K18523
研究機関愛知県立大学

研究代表者

奥田 隆史  愛知県立大学, 情報科学部, 教授 (20204125)

研究分担者 内田 君子  名古屋学芸大学, メディア造形学部, 教授 (50241196)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2025-03-31
キーワード集団の意思決定 / 集団浅慮 / ムードチェンジャー / マルチエージェントモデル
研究実績の概要

集団の意思決定において,早急に合意形成を図ろうとするときなど,集団浅慮(グループシンク)に陥ってしまうことがある.集団浅慮に陥ると,集団は極性化し,危険性の高い決定をしてしまう.自分一人であれば冷静に判断できるようなことが,集団で議論することにより,かえって判断能力が欠如してしまうのである.結果として「三人寄れば文殊の知恵」という諺とは逆のことが起き,集団の負の側面が現れる.学校でのいじめはその典型である.深刻な問題であり,早急な解決が求められている.いじめのような集団の負の行動を予防・抑制するには,多数意見に同調せずあえて反対意見を述べ,多様性を維持するようなムードチェンジャーが有効である.
本研究の目的は,いわば教室におけるムードチェンジャー役(または多様性維持装置)として「ロボット」を導入・実装し,いじめ問題(集団の負行動)を予防・抑制する効果を検証することである.この目的を達成する上で,ベースとなる部分は,人の集団生活に関連する集団の意思決定における様々なダイナミクスの数理モデルの構築である.
2021,2022年度は机上討論に基づいてマルチエージェントモデルを3種類:(1)レジ選択において内的要因と外部要因(仕掛け)により個人が意思を決定するモデル,(2)伝統的な餅まきを固定されたリソースを奪い合う数理モデルとして定式化し,集団としての利得をより良くするための,個人の意思決定モデル,(3)鬼ごっこを多様性を有するエージェントが役割分担を動的に変更していく数理モデルとして定式化し,役割分担が平滑化するアルゴリズムを検討した.さらに実際の大学におけるグループ分けと発話量の関係を明らかにした.2023年度はモデル(1)~(3)をクラスにおける生徒と教員の関係へ適応し,教員の表情変化がムードを変えることに与える影響度を明らかにした.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度はマルチエージェントモデルを活用した研究として査読論文1件,国内学会発表12件を公表した.また,グルーピングとクラスの雰囲気との関係を分析した実証研究として,国内学会発表4件を公表した.以上の実績から,本研究はおおむね順調に進展していると評価している.

今後の研究の推進方策

2023年度末に最終的な研究成果の一部である数理モデルについて情報処理全国大会で公表することができた(鈴木里菜,奥田隆史,マルチエージェント・システム・アプローチによるムードチェンジャーの表情変化がクラス雰囲気におよぼす効果の分析,第86回情報処理学会全国大会,神奈川大学,2024年3月).期間延長した2024年度は,本公表数理モデルを活用し,複数のパラメータでムードチェンジャーの役割を検証し,成果をまとめ公表する.

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍のため対面での現地発表,現地調査を当所の計画通りには実施することができなかったため,研究成果の最終的な成果公表が遅れ,次年度使用額が生じることになった.2024年度は現地での対面での国内外発表を実施するため国内外旅費が必要になる.また公表論文作成のための資料を購入する計画でいる.

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (16件)

  • [雑誌論文] Verification of Tag Rules That Reduce Advantage/Disadvantage due to Foot Speed2023

    • 著者名/発表者名
      Yasui Kazuma、Utsunomiya Yoichi、Okuda Takashi
    • 雑誌名

      IEEJ Transactions on Electronics, Information and Systems

      巻: 143 ページ: 1145~1153

    • DOI

      10.1541/ieejeiss.143.1145

    • 査読あり
  • [学会発表] マルチエージェント・システム・アプローチによるムードチェンジャーの表情変化がクラス雰囲気におよぼす効果の分析2024

    • 著者名/発表者名
      鈴木里菜,奥田隆史
    • 学会等名
      第86回情報処理学会全国大会
  • [学会発表] コロナ禍と大学生の学習意欲に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      内田君子,奥田隆史
    • 学会等名
      愛知県立大学アカデミックデイDay2(オンデマンド)
  • [学会発表] 身体的有利不利を小さくするような鬼ごっこルールの検証2023

    • 著者名/発表者名
      安井一真,宇都宮陽一,奥田隆史
    • 学会等名
      令和 4年度電気学会東海支部若手セミナー「超スマート社会実現のための情報通信と信号処理」
  • [学会発表] 集団同調性バイアスを考慮した災害レジリエンスを高める避難行動特性の検証2023

    • 著者名/発表者名
      山中健照,奥田隆史
    • 学会等名
      令和 4年度電気学会東海支部若手セミナー「超スマート社会実現のための情報通信と信号処理」
  • [学会発表] 確率モデルによるサブスクリプションサービスにおける最適プラン選択の検証2023

    • 著者名/発表者名
      小野航,奥田隆史
    • 学会等名
      令和4年度電気学会東海支部若手セミナー「超スマート社会実現のための情報通信と信号処理」(第2回)
  • [学会発表] 集団同調性バイアスを考慮した避難行動特性の検証-災害レジリエンスを高めるためにー2023

    • 著者名/発表者名
      山中健照,奥田隆史
    • 学会等名
      情報処理学会 第85回全国大会
  • [学会発表] ネットワーク科学アプローチによるサブスクリプションサービスにおける最適プラン選択の検証2023

    • 著者名/発表者名
      小野航,奥田隆史
    • 学会等名
      情報処理学会 第85回全国大会
  • [学会発表] 大学生のグループワークに対する好嫌感情とグループワーク形式授業における活動・意識との関係2023

    • 著者名/発表者名
      内田君子,奥田隆史
    • 学会等名
      日本教育工学会 2023年春季全国大会講演論文集
  • [学会発表] 学生のグループワーク参加度・満足度と認識の関係2023

    • 著者名/発表者名
      内田君子,奥田隆史
    • 学会等名
      日本教育心理学会第65回総会発表論文集
  • [学会発表] グループワークにおける対話活動とアサーションスキルの関係2023

    • 著者名/発表者名
      内田君子,奥田隆史
    • 学会等名
      令和五年度電気・電子・情報関係学会東海支部連合大会講演論文集
  • [学会発表] 長期的に最適な避難訓練の開催方法の検証2023

    • 著者名/発表者名
      山中健照,奥田隆史
    • 学会等名
      令和五年度電気・電子・情報関係学会東海支部連合大会
  • [学会発表] ネットワーク科学を用いた音楽サブスクリプションサービスの満足度の検証2023

    • 著者名/発表者名
      小野航,奥田隆史
    • 学会等名
      令和五年度電気・電子・情報関係学会東海支部連合大会
  • [学会発表] 公共交通システムにおける非利他的行動が同時乗車に与える影響の分析2023

    • 著者名/発表者名
      森下未帆,奥田隆史
    • 学会等名
      令和五年度電気・電子・情報関係学会東海支部連合大会
  • [学会発表] 足の速さによる有利不利をなくす鬼ごっこルールの提案2023

    • 著者名/発表者名
      安井一真,宇都宮陽一,奥田隆史
    • 学会等名
      令和 5年度電気学会東海支部若手セミナー「超スマート社会実現のための情報通信と信号処理」
  • [学会発表] 足の速さによる有利不利のない鬼ごっこの運動能力向上に着目した評価2023

    • 著者名/発表者名
      安井一真,宇都宮陽一,奥田隆史
    • 学会等名
      第146回数理モデル化と問題解決研究発表会(情報処理学会)
  • [学会発表] 多様な人々を考慮した長期的に最適な避難訓練の開催方法の検証2023

    • 著者名/発表者名
      山中健照,奥田隆史
    • 学会等名
      第146回数理モデル化と問題解決研究発表会(情報処理学会)

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公開日: 2024-12-25  

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