本研究の目的は,ビジュアル型言語とテキスト型言語の学習の利点を有し,両者の差異を埋める教育コンテンツを検討・試作し,実証実験を通して,学習結果だけでなく学習中の学習状態を評価することである.2021年度はビジュアル型言語とテキスト型言語の学習の利点を有し,両者の差異を埋める教育コンテンツ(中間型言語とよぶ)を検討・試作し,実証実験を通して評価を行った.ビジュアル型言語からテキスト型言語のプログラミング間の差異を埋める中間教育コンテンツの試作を行い,湘南工科大学付属高等学校の3年生に対して7回の授業を実施し,アンケートにより中間コンテンツの持つべき特徴を持っているかの確認を行った.2022年度は,アンケートによる評価に加えて,提案する中間コンテンツでの学習を挟む方が,その後のテキスト型言語の理解度が上がり,確認テストの成績が統計的に有意に高くなることを実験および分析により確認した.これにより提案する中間コンテンツの学習効果を定量的に評価することができた.さらにビジュアル型言語とテキスト型言語の学習中の生体情報(脳波,心拍,表情)を計測することで,両言語の学習中の生体情報に差異があることを発見した.最終年度(2023年度)は,前年度の生体情報に加えて心拍変動(HRV)を計測・分析することによりビジュアル型言語とテキスト型言語の学習時のストレスの変化を計測し,その違いを明らかにすることができた.また,これまでの評価・分析は数人程度の実証実験によるものであったが,最終年度としては,実際の提案手法を用いて高校生への実授業を行い,その生徒たちが大学生になった際のテキスト型言語の理解度が高くなることを実データによる分析によって明らかにした.これらに関して,国内学会発表4件,国際学会発表5件(内1件は2024年度に実施予定)を実施した.
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