研究課題/領域番号 |
21K18541
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
荻田 純久 関西学院大学, 教職教育研究センター, 准教授 (50369617)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 過剰適応 / 利他行動 / 自殺予防教育 / よい子 |
研究実績の概要 |
多くの研究者が,自殺(自死)の問題に関わっているものの,未だに収束に向かうことなく,児童生徒においては自殺(自死)が増加傾向にある。また児童生徒の自殺(自死)において過半数は理由が分かっていない。さまざまな自殺予防教育プログラムが開発され,学校教育現場に導入されているが,十分とは言い難く,新たな観点が必要だと思われる。一方,これまで研究者の多くは,子どもたちが示す不適応行動に関心を注ぐ傾向が強く,適応行動をとりつつ,生きづらさを抱える子どもたちは見過ごされる傾向が強かった。本研究では,こうした問題点を改善するためにパラダイムシフトを行い,いわゆる「よい子」と周囲からは見え,見過ごされがちである過剰適応の子どもたちの生きづらさを解明することで自殺予防に繋げることを目的とする。 2021年度は,利他行動の類型化を行い,利他行動の功罪について明らかにするため,先ず,1980年代から2021年まで国内で発表された事例研究論文を可能な限り集め,その中から過剰適応,利他行動が関係していると思われる事例を選び出した。そして,過剰適応に陥る利他行動について考察を深めた。同時に,利他行動に関する国内外の研究論文を集め,文献研究を行った。自殺(自死)に関する研究としては,コロナ禍の自殺(自死)に関する研究を行い,書籍用原稿としてまとめた。しかし,「現在までの達成度」にも記載しているが,介護の問題等のために研究は遅れている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症パンデミック,高齢の義父母の介護等が重なり,2021年度の進捗状況は芳しくないものであった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は2021年度から2023年度の予定となっているが,1年延長の申請を行い,2021年度の遅れを取り戻す予定である。2022年度は,2021年度に続き,日本で発表された事例研究論文をさらに調べ,過剰適応,利他行動が関係していると思われる事例を可能な限り列挙し,過剰適応に陥る利他行動について考察を深める。その後,利他行動に注目した過剰適応の再定義を行う。そして最後に,再定義した過剰適応を測定するための尺度作成を行い,その妥当性や信頼性の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
介護等の理由から2021年度の研究進捗状況が芳しくないため,2022年度使用額が生じた。2021年度の遅れを2022年度で取り戻す所存ではあるが,介護等の問題による影響を被ると思われる。本研究は2023年度終了予定であるが,1年延長申請を行い,2024年度終了とし,それまでに成果を出していく予定である。
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