従来、中度・重度の知的障害児(者)は、健常者と同等の会話をすることが難しいとされてきた。今回、中度・重度知的障害児(者)91名の言いたいことや自分の考えである「内言」を援助付きの書字により読み取り分析した結果、思考の特徴や障害特性についての内面的情報が得られ、自分の中に考えはあるが、表出する過程でのつまずきがあることが推察された。近年、自閉スペクトラム症(ASD)の当事者研究により、内面的情報が得られ支援に重要な役割を果たしているが、ほぼ知的障害のないタイプであり、知的障害のあるASD児(者)の内面情報を得られたことは個に寄り添う支援やQOLの向上にとって意味のあることだと考えられる。
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