研究課題/領域番号 |
21K18546
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 芳雄 東北大学, スマート・エイジング学際重点研究センター, 講師 (70760891)
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研究分担者 |
新川 広樹 弘前大学, 医学研究科, 特任助教 (10848295)
廣田 智也 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (20832041)
西村 倫子 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任講師 (30773791)
足立 匡基 明治学院大学, 心理学部, 准教授 (50637329)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | 児童青年期 / メンタルヘルス |
研究実績の概要 |
子どもの適応上の問題には対人関係や、ソーシャルサポートの有無、住んでいる地域の経済・治安状況や住民のネットワークの性質等の環境要因が大きな影響を及ぼすことがわかっている。このような環境要因を包括的に扱う概念としてソーシャルキャピタル(Social Capital, 以下SC)がある。先行研究では、学校の雰囲気や風土といった学校の認知的SCが児童生徒の良好な精神的健や学校への適応に与える影響が大きいことがわかっている。中でも子どもの交友関係や子どもに影響を与える地域社会のネットワークを考える上で重要な地理的範囲として学校区がある。しかし、これまでのSCに関する研究は、質問紙で取得した個人の認知的SCや、県或いは市町村といった行政区単位の構造的地域SCを扱ったものであり、学校区毎の構造的地域SCの情報を取得し、それらが児童生徒の情緒及び行動の問題に対してどのように影響するかを明らかにした研究はない。そこで本研究の目的は、学校区毎の構造的地域SCのデータを取得し、その構造的地地域SCが子どもの情緒及び行動に対して与える影響を明らかにすることである。 本研究では、東北地域にある某市の公立小中学校に通全ての児童生徒を対象に質問紙を配布し、調査を行った。その結果、学校区を反映する学校ごとにデータを比較した結果、児童生徒の精神的健康の指標である抑うつが、学校間で大きな差異があることが分かり、学校区毎の構造的SCが児童生徒の精神的健康に対して、重要な意味を持つことが示唆された。本成果は、児童生徒の精神的健康を改善するために、個人の特性だけに焦点を当てるだけは不十分であり、児童生徒を取り巻く構造的なSCに介入を行うことが重要であることを示した点で社会的な意義をもつといえる。
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