研究課題
社会生活への悪影響にもかかわらず、ギャンブル、ゲーム、ネットなどの特定の行動にのめり込んでしまう行動嗜癖に対する治療的介入法の開発が求められている。しかし、嗜癖の病態メカニズム研究は遅れており、不明な点が多い。よって、適切な動物モデルを構築し、これを解明する必要がある。本研究では、マウスの執拗なランニングホイール(RW)回転行動に着目することで、独自の動物モデル実験系を構築し、行動嗜癖の脳神経回路・分子メカニズムを解明することを目的とする。昨年度の研究から、マウスのオペラントホイールランニング課題(マウスが鼻先を穴に一定回数挿入するとRWのブレーキが解除され、その後の1分間、RWを回転させることができる課題)における、RW回転運動に対する欲求には側坐核のD1ドパミン受容体が関与することが明らかになったことから、本年度は、この課題にファイバーフォトメトリ法を組み合わせ、課題遂行中のマウスの側坐核におけるドパミン(DA)遊離および神経活動変化を、それぞれ、GRAB_DA およびGCaMP8を発現させることでイメージングにより評価した。その結果、DA遊離はノーズポークの直前に緩やかに上昇し、RWのブレーキ解除時に急激に増大した。一方、神経活動はノーズポーク時には減少し、RWのブレーキ解除時に一過性に増大した。また、ノーズポーク時における神経活動の減少はD1受容体遮断薬の投与により、減少した。以上の結果から、RW回転に対する欲求を反映すると考えられるノーズポーク時にDAが遊離し、これがD1受容体を介して神経活動の減少に寄与する可能性が示唆された。
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https://www.p.kanazawa-u.ac.jp/~yakuri/