本研究では、協力意図を他者に正直に伝える際に、どのようなシグナルが可能であるかを、モデルと実験を用いて検討した。通常、シグナルの正直さはシグナルを発するコストによって保証されると考えられるが、モデルを用いた検討により、コストのかからない協力意図のシグナルが一定程度までは正直なシグナルとしてパートナー選択に役立つことが示された。一方、実験を用いた検討では、コストのかからないシグナルが利用可能な場合は、協力意図の有無にかかわらずシグナルが使用されてしまい、シグナルの正直さ(情報的価値)が損なわれることが示された。これらを合わせて、協力意図シグナルにとってのコストの意味の理解が深まった。
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