研究課題/領域番号 |
21K18559
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松井 康弘 岡山大学, 環境生命科学学域, 准教授 (90379826)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | エシカル消費 / ベイジアンネットワーク / 行動モデル / アソシエーション分析 / 購買履歴データ / 食品ロス / Webアプリケーション |
研究実績の概要 |
本研究では、「エシカル消費」を研究対象として、エシカル消費に関する先導的な取組実績のあるパルシステム生活協同組合と連携し、その組合員を対象にエシカル消費行動とその関連要因に関するWebアンケート調査を実施し、実態を把握した。また、組合員の購買履歴に関するビッグデータをWebアンケートデータと統合解析し、日常的な購買行動及びエシカル消費に係る行動・認知・態度及び個人属性の間の相互関連を検討した。令和4年度の主な成果は以下の通りである。 ・エシカル消費行動と個人属性の関連を解析し、参加率の低い属性カテゴリーは30代以下、配達員との接触なし、会員歴1年未満であることを明らかにした。 ・ベイジアンネットワーク手法により、エシカル消費行動の要因構造モデルを構築し、前記属性カテゴリーにおけるモデルの感度解析により、各要因に介入することによる参加率向上効果を明らかにした。 ・エシカル商品の購入数と個人属性の関連を明らかにした。 ・家族人数別のエシカル商品購入数の予測モデルを構築した。モデルの感度解析により、各予測因に介入することによる購入数の向上効果を明らかにした。最も高い効果が期待される要因は商品選択時のエシカル消費のマークの意識であった。 また、食品ロス削減の介入策としてスーパー・デパート食品売場にライブカメラを設置し、その中継画像の配信及び画像内の商品名・価格・割引率等のデータを提供するスマートフォン用アプリを開発した。協力事業者6店舗において、食品ロス削減月間の10月8日~31日にアプリを使用した食品ロス削減の取組「のこり福キャンペーン」を実施、一部の店舗では参加者に割引・ポイント還元のクーポンを発行し、特典付与によって動機づけの強化を図った。キャンペーンの効果測定として、キャンペーン前後の食品ロス量の変化を比較するとともに、アンケート調査を実施して参加実態とその影響要因を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染拡大の影響による行動制限の長期化により、当職の所属組織では出張が長期間制限された。その結果、研究協力の依頼先である東京都新宿区にあるパルシステム生活協同組合連合会への研究協力依頼、連絡調整が大幅に遅延し、研究計画で予定していた調査範囲の半分程度しか調査・データ解析が実施できていない状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、エシカル消費行動とその関連要因の類型化、各グループの規定因構造、期待される啓発効果の違いを比較する等、引き続き残された検討範囲についての調査・データ解析を進める予定である。 当初計画していたICTを活用した啓発ツールの開発・効果測定については、令和4年度に割引食品のライブ中継アプリを開発し、協力事業者6店舗において社会実験を実施、その効果検証を実施したが、4週間程度の短期間の運用にとどまった。令和5年度は、アプリ運用の中で明らかとなった課題に対処してそのユーザーインターフェース等のシステム改良を図るとともに、より幅広い協力事業者の参加、運用期間の延長、アプリログデータの収集範囲の拡張等により収集データの規模を拡大し、行動変容の効果及び影響要因を明らかにすることを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染拡大の影響による行動制限の長期化により、当職の所属組織では出張が長期間制限された。その結果、研究協力の依頼先である東京都新宿区にあるパルシステム生活協同組合連合会への研究協力依頼、連絡調整が大幅に遅延し、研究計画で予定していた調査範囲の半分程度しか調査・データ解析が実施できていない状況にあり、これにより次年度使用額が発生した。
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