研究課題/領域番号 |
21K18564
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
渡部 文子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (00334277)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 扁桃体 / 皮質 / 脳幹 / 無意識 / マウス / 光遺伝学 |
研究実績の概要 |
痛い目にあった場所や環境を記憶することは生存に必須の機能であり、負情動記憶は世界中で研究されてきた。古典的恐怖条件付け課題は、音や場所などの条件刺激と痛みなどの無条件刺激との連合学習課題であり、連合形成の場として扁桃体が広く知られている。従来の先行研究では、無条件刺激の経路として、脳幹から視床、大脳皮質を経て扁桃体に入る間接経路が注目されてきたが、我々はこれまで、脳幹から扁桃体中心核への直接経路が無条件刺激として機能し、人工的な恐怖記憶を形成することができることを世界に先駆けて報告した。では間接経路と直接経路に生理的な相違点はあるのだろうか? 本研究では、直接経路は皮質などの高次処理を経ない経路であり、意識に上らない感覚情報と捉えることが出来るのではないだろうかと考え、その検証として直接経路による無意識の記憶の制御機構に迫ることを目的とする。本年度は、マウス個体レベルにおいて、光遺伝学的手法と新たに開発した細胞内シグナル系操作を可能とするオプトツールとを組みあわせることで、恐怖記憶制御における汎化や消去を検討するための行動実験系を確立した。さらに、マウス急性脳切片における光電気生理学的手法を用いて、直接経路と間接経路のシナプス伝達特性およびその修飾メカニズムを解析することに着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、マウス行動実験において無条件刺激と連合した条件刺激と連合していない条件刺激との弁別を可能とする弁別記憶課題を確立し、さらに個体レベルでの光遺伝学的操作によって消去学習を検討するための実験系を立ち上げた。また、急性脳切片における電気生理学的手法と光遺伝学的手法を組み合わせ、直接経路と間接経路のシナプス伝達特性およびその修飾メカニズムの解析にも着手した。以上のことから、研究はおおむね順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は初年度に得られた知見を発展させ、人工的に誘導した恐怖記憶の汎化や消去の解析を詳細に進める。さらに、急性脳切片を用いた電気生理学的な解析から、間接経路と直接経路のシナプス特性およびその修飾機構を明らかにし、得られた知見を行動実験に反映させ応用することまでを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により予定していた研究補助員の雇用ができなかったが、現場での工夫により研究推進に大きな遅れは生じていない。翌年度には予定していた研究計画を効率よくできれば前倒しで進めることで滞りなく予算使用を進める予定である。
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