フィッツの法則は、速さと正確さのトレードオフを規定する人間の動きに関する普遍的な法則である。本研究では、失敗が許されない状況での法則の適用性を探るため、エントロピー分析による軌道の情報処理という新たな方法を考案し、タッピング実験において通常試技と失敗が許されない試技を比較してペン先の動きとエントロピーを計算した。失敗が許されない試技では、動作時間が延長され、速度を犠牲にして精度を保つ局面が確認された。これを垂直跳び実験で検証し精度要求時の力の調整局面を確認した。これにより、フィッツの法則が失敗が許されない状況においても、局面ごとの情報処理と心理的な制限を考慮することで有効であることが示された。
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