研究課題/領域番号 |
21K18566
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
板倉 昭二 同志社大学, 研究開発推進機構, 教授 (50211735)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 乳幼児 / 社会的カテゴリ / ロボット / コミュニケーション / インタラクション |
研究実績の概要 |
我々は、単独で生きているわけではなく、多種多様な社会的カテゴリの中で生きている。そうしたカテゴリは、生きていくうえで極めて重要であるが、一方そうしたカテゴリゆえに差別が生じることもある。本研究プロジェクトでは、乳幼児における社会的カテゴリ創発のメカニズムやプロセスを明らかにすることを主な目標としている。乳幼児は、比較的早くから様々な社会的ネットワークをベースとして自らもある種の社会的カテゴリに属するようになる。2021年度は新型コロナ感染症パンデミックのため、当センターにての対面実験はほぼ叶わなかった。そこで、新しいカテゴリ創出の対象をロボットとして、新たな実験計画を立て予備的な実験調査を少数のサンプルで行った。具体的には、養育者と乳幼児のインタラクション、すなわちそのほとんどが母子間のインタラクションであるが、そこに対話をプログラムできるロボットを導入し、その際の乳幼児の反応を観察した。その結果、ロボットの働き掛けに対して、乳幼児は共同注意行動を示す場合があること、また、ロボットの態度に対して母親に社会的参照行動を示すことが見出された。社会的参照行動とは、新奇な事象に相対したときに、自分の態度を決定するために他者の行動や情動情報を参照することである。そうしたことが見られたということは、多少なりともロボットを社会的なエージェントに属するカテゴリと見なした可能性が示唆されるものである。今後は、こうした知見をベースに新たな実験計画を立て、実験調査を継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は、新型コロナ感染症パンデミックのため、当初予定していた当センターに参加者に来ていただいて実施する実験的調査がほとんどできなかった。コロナ禍での緊急事態宣言や蔓延防止措置などにより、大学構内や当センターへの入構が禁止された。特に、当センターは、乳幼児とその養育者を受け入れて行う調査のため、十分に慎重にならざるを得ず、センター独自のガイドラインも作成して対応した。そうした合間を縫って、実験を行ったが、関連調査はほとんど実施できず、サンプル数もかなり少数となった。また、経費の繰り越しもおこなった。 したがって、2021年度の自己評価は、「遅れている」との判定を下した。
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今後の研究の推進方策 |
実験に必要な設備および実験計画はすでに整っているので、新型コロナ感染症の状況次第では、すぐに実験に取り掛かることが出来る状態にある。また、本センターは、「赤ちゃん研究員制度」と称する参加児(者)登録制度を設けており、すでに相当数の参加者プールを要している。また、参加者のリクルートを専門に行うチームも要しており、いつでも実験調査が開始可能である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症パンデミックのため、当初予定していた対面実験調査が不可能となった。そのため、社会的カテゴリの範囲をロボットにまで拡大し、少数サンプルの予備的実験を行った。その有効性が確認できたので、次年度はコロナの状況を鑑みながら実験調査を継続する。当センターでは、研究参加者プールも十分であり、また参加者リクルート専門チームを配備してあり、コロナの状況次第ではすぐにでも実験調査が可能となる。
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