研究課題/領域番号 |
21K18572
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
番 浩志 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 主任研究員 (00467391)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 心理学 / 立体視 / 3D / 眼球運動 / バーチャルリアリティ / 知覚 / 視覚 / 認知 |
研究実績の概要 |
本研究は、自然視環境(3D自然風景写真の観察、あるいはバーチャルリアリティ(VR)映像の観察)下における、3D空間上でのヒトの眼球運動の特性(移動量、速度、停留頻度、停留部位、輻輳角の変化など)を計測し、3D空間上でヒトの眼球および注意がどのように遷移するのか、その特性を解明するための礎となる大規模なデータベースを構築することを目的とする。VR上でのヒトの視線の方位についての研究はまだほとんどなされていない。一方で、ヒトは他者の視線の変化を敏感に検知し、その視線方位へ自ずと注意を向けることが知られている(社会的注意などと呼ばれる)。よって、CG人物の視線をうまく制御しなければ、ヒトの注意が思わぬ方向へ逸れ、甚大な事故に繋がる可能性がある。そこで本研究では、3D空間上での眼球運動に着目し、その特性の基礎的知見を集積する。さらにその3D空間上での眼球運動の知見を申請者らが独自に構築している3D自然風景写真のストックとともにデータベースとして公開することを目指す。 本年度は、まず、ヒトが3D空間のどこをどのように見ているのかを調べるため、VR用ヘッドマウントディスプレイを装着した状態で3D自然風景写真を観察中のヒト観察者の眼球をリアルタイムで計測するソフトウェアと実験環境の開発・整備を行った。コロナ禍の影響で実際の眼球運動計測実験の大部分は延期しなければならなかったが、実験環境は完成しているので、次年度から10000枚程度の3D自然風景写真に対する眼球運動データの取得を着実に進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
VR環境上で3D自然風景写真に対する眼球運動データを取得する実験を実施するために必要なソフトウェアの開発と計測環境の整備は完了したが、コロナ禍の影響で実験計画が大幅に延期されたため、残念ながらデータ取得はほとんど進んでいない。次年度以降、感染対策を施した上で迅速にデータ取得を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本申請課題の実験データの規模として、10000枚程度の3D自然風景写真に対して、各画像5秒の観察時間を設定し、最低20名のヒト被験者の眼球運動データを取得する予定である。まずはそのデータ取得を優先して進める。その後、3D自然風景写真と眼球運動データとの関係性を調べるために、相関解析やモデルベースの解析手法を適用し、ヒトが3D空間上でどこの何を見ているのか、そして、3D空間上で眼がどのように安定(あるいは遷移)しているのかを突き止めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で3D自然風景写真に対する眼球運動データを計測する実験が延期された。この延期された実験に必要な被験者謝金などの経費を繰り越し、翌年度にデータ取得を実施したい。
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