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2023 年度 実績報告書

ポストディクションとしての自己感:ベイズ事後推論による主体性の因果判断過程の検討

研究課題

研究課題/領域番号 21K18573
研究機関株式会社国際電気通信基礎技術研究所

研究代表者

浅井 智久  株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 主任研究員 (50712014)

研究分担者 柏原 志保  株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究員 (60910247)
千代原 真哉  株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究員 (50905429)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2024-03-31
キーワード自己感 / ポストディクション
研究実績の概要

本研究課題では,運動行為を行ったポストディクションとして自己感が発生している可能性を,行動実験および脳波の計測実験として検証した。そこで,自発的なキー押し行為に先立って観察される運動準備電位を検討することで,ポストディクティブな自己感が「先行する自身の脳活動への後からのラベル付けや事後推論」である可能性を検討した。これまで実施した複数の実験結果から,運動準備中に特定の脳活動へ収束していく様子をまず可視化した。具体的には,行動データおよび脳波データから,キー押しタイミングを0時点とエポッキングし,参加者および条件の繰り返しをまとめた試行集団データセットに落とし込んだ。これに対して,我々が開発してきた脳波マイクロステートを基底とし,全脳の神経活動状態を1時点ごとに状態空間上に布置する手法(状態空間上での遷移を可視化)を適用した。その結果,特定の脳状態(状態空間上での特定の位置)へ各被験者の状態ダイナミクスが時点0に向かって凝集する様子を観察することができた。そのため続いて,この観察された状態の凝集現象の定量化のために,EEGマイクロステートテンプレート(ABCDE±)を用意し,各瞬間の脳波状態にいずれかのラベルを貼ることで定量化する解析を検討した。結果として,マイクロステートE+と呼ばれる状態が運動準備期間中に累積していく様子を定量的にも示すことに成功した。さらに,別の認知課題時におけるキー押しではこの結果は再現されないことも比較として明らかにした。以上の知見は,主体的行為における意図およびその結果としての行為の発動とは,ある瞬間に起こる(起こせる)ものではなく,時間をかけた神経活動の累積がまず必要で,その累積が閾値を超えた瞬間に解放される現象であり,その一連の神経履歴を後から事後推論することにより「主体感の解釈」が成立している可能性を議論できるものであると考える。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 自己の科学は可能か2024

    • 著者名/発表者名
      田中 彰吾、今泉 修 、金山 範明 、浅井 智久 、弘光 健太郎
    • 総ページ数
      224
    • 出版者
      新曜社
    • ISBN
      4788518317

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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