研究課題/領域番号 |
21K18579
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
三松 佳彦 中央大学, 理工学部, 教授 (70190725)
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研究分担者 |
足立 真訓 静岡大学, 理学部, 講師 (30708392)
小川 竜 東海大学, 理学部, 講師 (90759143)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | Anosov 力学系 / 双曲曲面 / Hilbert modular 曲面 / 強擬凸性 / Stein 曲面 / Fatou-Bieberbach 現象 / Hirzebruch-Inoue 曲面 |
研究実績の概要 |
双曲曲面(種数2以上のリーマン面)に付随する複素曲面と、Hilbert modular 曲面を主な対象として究極の強擬凸性を研究する計画であるが、特に、Hilbert modular 曲面における研究を symplectic 構造の立場から推し進めた。 特に、付随する尖点特異点についての strange duality 対に対応するように Hilbert modular 曲面の対をとると、問題としている Anosov 流を許容する実3次元多様体を共通の境界として、コンパクトな Hirzebruch-Inoue 曲面に貼りあがるが、尖点特異点を特異点解消ではなく smoothing してしまうと、Hirzebruch-Inoue 曲面ではなく K3 曲面が対応し、Lefschetz fibration を許容することが研究代表者らの研究により分かっている。これを Lagrange fibration とみなした時に得られる fibration の底空間の integral affine structure から全空間に入るべき適合する symplectic 構造が特定できる。 これが、もともとHilbert modular 曲面と考えていたときに得られる、境界で凸性を伴って発散する自然な symplectic 構造とほぼ同様のものであることが分かった。(b-symplectic 構造の枠組みでとらえられるものであり、b-symplectic 構造の本質的に重要な例が発見されたといえる。) 即ち、恐らくは symplectic 構造と複素構造では、問題となっている, Anosov 流を許容する3次元多様体として実現されるLevi 平坦超曲面の近傍の凸性が正反対になるのが自然である、という大きな予測が得らえた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
長引くコロナ禍により基礎的な知識の収集のための研究集会(ENCOUNTERwithMATHEMATICS)の開催及び外国人研究者との直接的な交流が実施できなかったことが一つの要因である。 Fatou-Bieberbach 現象が特定の複素多様体上では生じないことを示すことが最終目標のやや弱い形であるが、これらを含めて、最終目標に至るより基礎的な研究課題を具体的に設定することを再度検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
Fatou-Bieberbach 現象について、複素力学系、特に正則ベクトル場による構成論的な立場から、接束係数のコホモロジー論(変形理論)としての問題の定式化と具体例の調査を行う。 また、3次元 Anosov 流には、懸垂系と接触 Anosov 系の二つの相反する代表的なクラスがある。これらの二つの場合に関連する複素構造、sympletic 構造の状況に大きな差があることが予想され始めた。この部分で基礎的ないくつかの例を検討することを今後の研究の基礎固めの一つとして加える。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画に対し、長引く感染症状況の下での研究集会、国際会議、及び頻繁な研究連絡が不可能となったため。
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