研究課題/領域番号 |
21K18586
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
磯 祐介 京都大学, 情報学研究科, 教授 (70203065)
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研究分担者 |
藤原 宏志 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (00362583)
川越 大輔 京都大学, 情報学研究科, 助教 (30848073)
今井 仁司 同志社大学, 理工学部, 教授 (80203298)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 数理モデル化 / 数値解析 / 安定性解析 / 反砂堆(antidune) / 数理モデルの数値シミュレーション |
研究実績の概要 |
反砂堆(antidune)現象は主として砂を組成とする河床の現象で、河の流れの反対方向に砂が遡上して堆積する「移動境界」ものであり、河川のほか大陸棚等で観測される。水路実験では比較的短時間で発生して消滅する現象として自然現象としても興味深いものであるが、近年では河川氾濫と関連する現象として注目を受けている。現状ではこの現象の定義自体が確立されているとはいい難く、したがってその数理モデルも現象を特徴付ける仮定に依存して幾つかの提案がなされている。本課題研究では、1963年に J. F. Kennedy が提唱した古典的な数理モデルを採用し、反砂堆現象の信頼できる数値シミュレーションを行い、また数理モデルの解の安定性を数学解析によって明らかにすることを目的としている。 本課題研究の現状は Kenneddy の仮定による渦無し完全流体の流れを前提に、反砂堆を河床(数理モデルにおいては流体現象を記述する偏微分方程式の境界)の動的挙動として捉えて実験式を踏まえた数理モデルを前提としたうえで、反砂堆が発生している場合の数値シミュレーションと安定性を論じている。研究代表者およびその研究組織による先行研究によって Kennedy の提案する非線型の境界条件の役割についてのモード解析が行なわれているが、その成果を前提に、初年度は Kennedy が導入したパラメータの役割について論じて成果をあげた。なお、近年の防災研究においては河床に生じる剪断力を論じることの重要性が指摘され、Kennedy モデルとは異なる数理モデルが用いられることも多い。このため、近年の別仮定下での数理モデルにおけるモード解析との比較が「数理モデルによる現象の理解」では重要であることを初年度の研究遂行を通して認識をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題研究の推進においては、安定性の数理解析に関して、申請段階では海外の研究者との討論を中心とする国際共同研究を計画している。しかし終息に至らない世界的なCOVID-19感染症の防止を目的とした海外渡航制限から、初年度に計画していた対面でのセミナーが当初計画通りには実施できておらず、代替措置であるインターネットを利用した限定的な研究連絡に留まっておりこの点では若干の遅れを否定できない。一方で国内での安定性に関する数学解析と数値解析では当初計画を超えた成果が有り、全体としては相殺すれば、当初計画の若干の変更と研究計画の遂行には支障の無い程度の「軽微な遅れ」が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度にはCOVID-19感染症の防止を目的とした海外渡航制限も世界的に緩和されると期待されることから、海外の共同研究者を交えた対面形式での討論セミナーを実施し、多角的な視点から数理モデルの数学解析・数値解析の議論を進める。また Kennedy モデルに周期境界条件を課した場合は数理モデルが境界上の非線型積分方程式に帰着されることが研究代表者によって示されており、積分方程式モデルを利用した数値計算法の確立についての議論を進化させる。一方で、Kennedy モデルから離れ、河床の砂に働く剪断力を境界条件とする数理モデルの調査研究を行い、それをもとに Kennedy モデルとの比較検討を行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
世界的な COVID-19 感染症予防対策による出入国制限等により、当初計画に盛り込まれていた海外の研究協力者との対面形式による研究連絡をインターネットを利用した研究連絡で代替し、対面形式のセミナーは延期した。また関連して、国内研究集会の実施を次年度に延期した。 2022年度は各国の出入国管理も緩和されることを見越し、海外研究協力者との対面形式でのセミナーを実施する。また国内移動の制限も緩やかになることを前提に、海外研究協力者との研究連絡等を踏まえた国内セミナーを2022年10月までに実施する計画である。
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