細胞運動は発生過程からガン細胞の転移に至る多くの生命現象に関わっている.本研究で構築した「運動する人工細胞」はそのシンプルさゆえに詳細な理解を可能としている.そのため, 人工細胞のモデル系を実験物理学の対象として確立することは,従来は隔たりがあったソフトマター物理学・細胞生物学・合成生物学を融合し,細胞内対称性の力学的理解と自在な制御の基礎となるものである.将来的には生体内を動く細胞や培養細胞の解析に応用することで,ガン細胞の浸潤を予測する医療シミュレーターなどの解析手法の創出につながると期待できる.
|