研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究は重い電子系の特性を活かした革新的熱電デバイスの創製に挑戦したものである.特にその候補物質としてYbB6を取り上げ,単結晶試料においてYbとBを化学量論比から僅かにずらすことで極性を制御し,その際の熱電性能の変化を追跡した.結果としてn型の組成において極めて大きなゼーベック係数を観測し,その出力因子は実用化されている熱電材料Bi-Te系の値に匹敵することがわかった.以上の成果はこの材料をベースとした次世代熱電デバイスの応用に向けて重要な知見を与えるものである.
固体物理学
重い電子系は高い熱電出力因子が得られるにも拘わらず熱伝導度の低減が困難なために熱電材料としての実用化は進んでいない.本研究はこれに対する逆転の発想として熱伝導度が影響しない熱電デバイスに重い電子系の熱電特性を最適化することにより新しい熱電デバイスの創製を目指したものである.本研究で作製した単結晶試料は既存の材料に匹敵する熱電性能を示しており,この方向性で研究がさらに発展すれば革新的な熱電デバイスの開発につながることが期待できる.