半導体量子ドットは、量子サイズ効果により発光波長を変えることができる材料である。また、量子ドットを別の半導体で被覆したコアシェル量子ドットは、高い蛍光量子収率を示すことが知られている。本研究では、コアシェル量子ドットを利用した高効率のシンチレータ材料の開発に取り組んだ。特に伝導体のエネルギー差が小さい準Type-IIコアシェル構造に着目し、シェルを十分に厚くした巨大シェルを有するCdSe/CdSコアシェル量子ドットを合成することで、既存のType-Iのようにコア部で放射線の吸収と発光を完結するのではなく、シェルで放射線を吸収し、コアで発光する機構を有した新たなシンチレータ材料の開発に成功した。
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