研究課題
本研究の目的は、干渉計の鏡を周期的に自由落下させ、地面振動雑音と懸架の熱雑音を取り除き、1~10Hzの低周波帯において感度を飛躍的に高める、いわゆるジャグリング干渉計型重力波検出器を開発することである。これにより、例えば、ブラックホール連星の合体前後に発生する重力波の低周波帯での精密な観測を行うことにより、強重力場における一般相対性理論の検証も可能となる。最終年度は、リニアステージの動きをさらに微調整し、ジャグリング干渉計の動作に必要な許容できる角度変化にあと一桁と迫ることができた。そしてピエゾ素子を用いて鏡をリリースする方法についても検討し、プロトタイプ実験を行った。また、リニアステージの動きに伴うレーザー光の横揺れに対してもファイバー出射部を固定するなどの対策を施した。さらに、これらの問題点を解決するために、投げ上げの周期を短くする方式(ジグリング干渉計)についても検討を行った。以下に、研究期間全体を通じて実施した研究の成果についてまとめる。理論面においては、第3世代重力波検出器に周期的無重力鏡を組み込むことで、1Hzにおいて感度を2桁半改善でき、中間質量ブラックホール連星の準固有振動状態からの重力波検出など、サイエンスにおいて大きな進展が期待できることが分かった。実験面においては、リニアステージを用いて鏡投げ上げ機構を製作し、鏡が実際に無重力状態になることを確認した。その際問題となった、鏡の角度変化の問題に取り組み、投げ上げ方式でなく頂点からの自然落下方式に切り替えることにより、鏡の角度変化はかなり小さくなり、干渉計のコントラストを維持できる状態まであと一桁と迫ることができた。また、リニアステージの動きに伴うレーザー光の横揺れに対しても対策を施した。さらに、これらの問題点を解決するために、投げ上げの周期を短くする方式(ジグリング干渉計)についても検討を行った。
すべて 2024 2023
すべて 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)