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2021 年度 実施状況報告書

原子核乾板を用いた0νダブルベータ崩壊探索に向けたMeV電子精密測定技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K18627
研究機関名古屋大学

研究代表者

福田 努  名古屋大学, 高等研究院(理), 特任助教 (10444390)

研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2023-03-31
キーワード原子核乾板 / ニュートリノ / 二重ベータ崩壊 / MeV電子 / 平板状ハロゲン化銀結晶
研究実績の概要

本研究では原子核乾板を用いた将来のニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊探索実験に向けて、MeV電子のエネルギー測定精度の向上が不可欠であり、従来の正八面体と異なる形状のハロゲン化銀結晶を用いた原子核乳剤の開発を目指した。特に荷電粒子の結晶内通過距離が正確に測定できる平板状の結晶作成に向けて、名古屋大学F研の原子核乳剤製造装置を用いてハロゲン化銀結晶の核形成時のゼラチン量を減らすことで保護コロイド能を抑制しつつ、銀電位を低く保つことで、双晶面と呼ばれる結晶欠陥を複数持った核を形成し、平板状結晶を作成することに成功した。これにより、世界で初めて素粒子実験用の平板状結晶で構成される原子核乳剤の開発に成功した。

また、電子顕微鏡での結晶観察において、適切な厚みのコロジオン膜を貼ったメッシュを用意し、開発した平板状結晶の厚みを系統的に測定できるようリファレンスとしてラテックス粒子を導入した、真空蒸着した電子顕微鏡観察用のサンプルを作成し、名古屋大学医学部の電子顕微鏡を用いて結晶評価を行う方法を確立した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

名古屋大学F研の原子核乳剤製造装置を用いて、本研究において最も難しいと考えていた平板状のハロゲン化銀結晶で構成された原子核乳剤の開発に成功した。この成果は将来の原子核乾板を用いたニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊探索実験の実現に向けた極めて重要な一里塚である。

今後の研究の推進方策

今後は開発に成功した平板状のハロゲン化銀結晶のサイズ・厚みのコントロール・非平衡な双晶面を持った核および双晶面の数が1つ以下の核といった平板状以外の結晶の除去を行い、素粒子実験での実用に向けた開発研究を行う。結晶のサイズ・厚みの調整には、使用しているゼラチンの選別、核形成時・結晶成長時の銀電位の調整により条件出しを行う。また、オストワルド熟成の条件出しを行って、平板状以外の結晶を除去する。

次年度使用額が生じた理由

当初の計画より早く平板状のハロゲン化銀結晶の開発に成功したことで、結晶の形状評価を先に行うよう研究計画を早めた。その結果、形状評価のための試行錯誤に割く時間が大きくなり、結晶作成回数が減ったことで結晶作成に使用する硝酸銀の購入回数が減り、その費用は次年度にまわすこととした。今年度は平板状結晶作成の条件を振って様々な結晶の作成を予定しているため、この費用を用いて作成に使用する硝酸銀を購入することとする。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 素粒子検出用新規原子核乾板のための平板状ハロゲン化銀結晶の開発2021

    • 著者名/発表者名
      宮田芙悠、福田努、久下謙一、大関勝久
    • 学会等名
      2021年度 日本写真学会年次大会

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公開日: 2022-12-28  

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