研究課題/領域番号 |
21K18628
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
身内 賢太朗 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (80362440)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | 暗黒物質 / シンチレータ / CF4 |
研究実績の概要 |
暗黒物質直接探索は、液体キセノンを用いた実験が感度を飛躍的に向上させている。一方、スピンに依存した反応に注目するとキセノンよりもフッ素が有利に働 き、PICOと呼ばれるフッ素を含むバブルチェンバー(エネルギー情報を取得できない閾値型検出器)を用いた実験も感度をのばしている。知名度としては液体キ セノンを用いた実験が上だが、数年以内にPICO実験によって暗黒物質発見の示唆がなされる可能性もある。こうした場合には、フッ素を含み、大質量が可能かつエネルギー情報を 取得可能な実験による検証が必要であるが、現在こうした検出器の開発は世界的に行われていない。本提案は、気体として発光及び電離電子の検出が実証されて いるCF4ガスを液化し、大質量検出器として用いるための基礎研究を行い、暗黒物質検出器としてのデモンストレーションを行う。キセノンの例では液化による発光量の変化はないなど、液化CF4が検出器として動作する可能性は十分ある一方で、検出器としての性能評価が行われていない、萌芽的な研究である。 本研究では、フッ素を含む大質量検出器の有力な材料として液化CF4(沸点145K)に着目、その性質を研究する。液体希ガス検出器としてキセノン(沸点165K)が用いられているが、CF4に関しては検出器としての性能はこれまで調べられていない。本研究では、過去に報告のない液化CF4の発光量を測定することを第一の目的とする。令和3年度には、光電子増倍管を2ケ用いた実験装置に気体のCF4を導入し、60keVのガンマ線を用いて光量を観測した結果を定量的に解析し、低温で光量が増加することを確認、論文として発表した。また、この結果を踏まえて、CF4を液化するための次期測定装置を設計、製作した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CF4ガスの発光の低温での応答を調べ、論文として公表するなど、順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
液化CF4の光量測定に優先度を持たせて、予定通り研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
低温CF4での測定のフィードバックをかけた実機の製作に時間を要し、完成が2022年度となった。2022年度初頭に完成しており、進捗に大きな変更は生じていない。
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