研究課題/領域番号 |
21K18629
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
佐藤 修一 法政大学, 理工学部, 教授 (30425409)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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キーワード | 重力波 |
研究実績の概要 |
重力場変動による変位(加速度)信号を測定するためのDFI干渉計の構築と予備実験,および重力場変動による変位信号の生成機構の設計を行なった.
重力場変動による擾乱としての信号を観測することと併せて,最終的にはこれらを相殺することのできる光学系として,最もシンプルなDFIである双方向マッハツェンダー干渉計を採用する.同一の干渉光学系に双方向からレーザー光を入射することにより干渉計出力を2つ得ることができるが,これらの信号を後処理で引き算することにより,鏡の変位情報(雑音)を消去することができる. 一方で,本研究の目的は重力場変動による変位雑音を測定することと併せて,これらを相殺する技術の成立性を実証することであることから,DFIの変位雑音除去機能を地面振動など擾乱由来の変位雑音には適用しつつ,重力場変動由来の変位雑音には感度があるようなDFIの幾何学設計を採用した.これらの設計を反映したモノリシック型DFIを干渉計として構築し,干渉計として機能すること,および雑音感度の評価を行った.
重力場変動を生成する機構としては回転ディスク型のアトラクタとその回転機構(モータ)についての検討を行なった.回転機構の発生する振動雑音が干渉計に支配的に現れないよう,回転機構と干渉計は別プラットフォームに設置し,かつ干渉計は能動防震系に設置するものとする.さらに振動など由来の変位信号と,本研究の目的である重力場変動由来の変位(加速度)信号を区別するために,回転ディスク上の質量(アトラクタ)の配置を工夫する.地面振動および50Hzのラインノイズなど,外来雑音と区別できる特徴的な周波数を選び,その周波数でのモノクロマティック的な重力場変動信号を印加することができるようなシステムとした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である重力場変動由来の干渉計信号を観測するためには,センサとなる干渉計ができるだけ擾乱に不感となる光学設計を行うこと,併せて重力アト ラクタとなる回転ディスク機構が発生する変位雑音が干渉計に現れにくくする設計の2つが大きな柱である.両者について定性的・定量的評価を行い,干渉計お よび回転機構の設計製作に進める段階まで検討が進んだものと評価される.
本研究の目的である重力場変動由来の干渉計信号を観測するためには,①センサとなる干渉計ができるだけ擾乱に不感となる光学設計を行うこと,併せて②重力アトラクタとなる回転ディスク機構が発生する変位雑音が干渉計に現れにくくする設計,の2つが大きな柱である.
両者についての定性的・定量的評価を踏まえ,①についてはDFI干渉計を用いた予備実験を行い,想定される機能と性能を実証した.②については,重力場変動による鏡の変位生成機構の具体的な設計を進め,成立性が見込める段階まで検討を進めることができたものと評価される.
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今後の研究の推進方策 |
必要な設計検討・予備実験など,準備に相当する部分は概ね順調に進んでいることから,今後はこれらの要素を組み合わせて最終的に重力場変動による変位雑音を観測・相殺する実証実験へと進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
必要な設計検討・予備実験など,準備に相当する部分を慎重にすすめたことから次年度使用が発生した.これらの準備段階は概ね順調に進んでいることから,今後はこれらの要素を組み合わせて最終的に重力場変動による変位雑音を観測・相殺する実証実験へと進める予定であり,そのために必要となる経費を計画的に執行できる見込みである.
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