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2021 年度 実施状況報告書

サイクロトロン共鳴によるミューオン加速のための基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K18630
研究機関大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構

研究代表者

大谷 将士  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (90636416)

研究分担者 近藤 恭弘  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 主任研究員 (40354740)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2023-03-31
キーワードミューオン / サイクロトロン共鳴 / イメージング / 加速
研究実績の概要

本研究の目的はサイクロトロン共鳴原理によるミューオン加速の原理実証を行うことである。この技術が実現すれば、ほぼ静止したミューオンをほぼ光速度まで加速するために、現行の約40メートルから数メートルへ加速器を小型化することができる。持ち運び可能な小型の加速ミューオンビーム装置ができれば、これまで宇宙線ミューオンで行われきた透視イメージングを凌駕する高精度・短時間でのミューオンイメージング分野が開拓できる。
サイクロトロン共鳴原理では、一様磁場中でのサイクロトロン運動と横方向電場を持つTEモードなどの高周波電場を同期させることで粒子を加速する。通常の加速器で用いられる進行方向に加速電場を持つ空洞では1MW以上の運転実績を持つものは少なくないが、放電やローディングによるパワーロスを防ぐには表面処理やコンディショニング運転が必要となる。一方で、サイクロトロン共鳴加速に用いる空洞は進行方向に垂直な方向の電場を加速に利用するもので、このような空洞で1MW以上の大電力を投入した例はない。そこで、実際に空洞を製作して大電力試験を行う。
今年度は加速ビームダイナミクスシミュレーションと空洞設計を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ビームダイナミクスシミュレーションによって空洞の周波数、電力、磁場と加速で到達できるエネルギーを定量的に評価し、製作にむけた空洞パラメータを決定することができた。当初の予定では空洞製作にむけた材料手配まで行う予定であったがコロナの影響で遅延を余儀なくされた。一方で、ミューオン加速によって得られるミューオンビームを用いたイメージングについてシミュレーションを用いて評価し、短時間で宇宙線ミューオンを凌駕する分解能の透過イメージングが得られることを実証した(OSA Imaging and Applied Optics Congress 2021、IPAC2021 contributed oralなどで発表)。

今後の研究の推進方策

これまでの研究結果から、周波数や電力などの空洞パラメータは決定している。これに基づいて空洞製作にむけた詳細設計を完了し、空洞を製作する。製作後は大電力印加に必要なカプラー空洞等の検討を行い、目標パワーまでの大電力試験を実施する。

次年度使用額が生じた理由

ビームダイナミクスシミュレーションによって空洞の周波数、電力、磁場と加速で到達できるエネルギーを定量的に評価し、製作にむけた空洞パラメータを決定することができた。当初の予定では空洞製作にむけた材料手配まで行う予定であったが、コロナの影響で材料手配が遅れ年度内手配が難しく遅延を余儀なくされた。2021年度に確立した設計に基づき2022年度に空洞の製作を行う。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] First muon acceleration and muon linear accelerator for measuring the muon anomalous magnetic moment and electric dipole moment2022

    • 著者名/発表者名
      Otani Masashi
    • 雑誌名

      Progress of Theoretical and Experimental Physics

      巻: 67 ページ: 67

    • DOI

      10.1093/ptep/ptac067

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Muon cooling and acceleration2022

    • 著者名/発表者名
      Otani Masashi
    • 雑誌名

      AAPPS Bulletin

      巻: 32 ページ: 6

    • DOI

      10.1007/s43673-022-00035-6

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 素粒子現象から巨大構造物まで透視するミューオン加速技術2022

    • 著者名/発表者名
      大谷将士
    • 学会等名
      総研大高エネルギー加速器科学研究科2021年度 第3回大学院説明会
  • [学会発表] Simulation of imaging using accelerated muon beams2021

    • 著者名/発表者名
      大谷将士
    • 学会等名
      12th Internatinal Particle Accelerator Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] Tomography and Radiographic Imaging using Accelerated Muon Beam2021

    • 著者名/発表者名
      大谷将士
    • 学会等名
      Optical Sensors and Sensing Congress
    • 国際学会
  • [学会発表] ミューオン加速器で探る未知の素粒子現象2021

    • 著者名/発表者名
      大谷将士
    • 学会等名
      第18回日本加速器学会年会
    • 招待講演
  • [学会発表] ミュオンビームを用いた革新的な透過イメージング2021

    • 著者名/発表者名
      大谷将士
    • 学会等名
      茨城テックプランター2021

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公開日: 2022-12-28  

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