研究課題/領域番号 |
21K18637
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
當真 賢二 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 准教授 (70729011)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | 暗黒物質 / アクシオン / 原始惑星系円盤 / 偏光 / 赤外線 |
研究実績の概要 |
暗黒物質は、宇宙の進化において不可欠と考えられているにもかかわらず、その正体は全くの不明である。近年、素粒子論と宇宙構造形成論において最も活発に議論されている暗黒物質候補がアクシオンである。我々はアクシオンが光の偏光に影響することに着目し、原始惑星系円盤の偏光観測を用いてアクシオンを探査できるという全く新しい手法を2019年に提唱した。そしてSubaru望遠鏡で2011年に得られたAB Aurigaeの偏光データからアクシオンの存在に対しそれまでで最も厳しい制限を導いている。原始惑星系円盤の観測手法が著しく発展していることも我々のアクシオン探査手法の強みである。本研究では、2011年以降の既存の良質な観測データの解析やアップグレードされたSubaru高精度偏光観測装置SCExAOによる観測を図り、制限の更新あるいはアクシオンの兆候を捕えることを目指す。またアクシオンエネルギーが振動することによる偏光角振動を抽出する解析手法を確立する。 当該年度の成果として、VLT望遠鏡の観測装置SPHEREによるTW Hydraeの観測データを解析し、系統誤差の評価が想定以上に重要であることを明らかにできた。また偏光角振動の抽出解析手法を議論した。系統誤差への対処と偏光角振動の抽出解析手法を含めたSubaruの高精度偏光観測装置SCExAO fast-PDI modeの観測計画を立て、観測プロポーザルを申請し、採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初雇用を計画していた研究協力者の協力が得られなくなったため、データ解析は遅れている。しかし研究計画申請時からの研究協力者の橋本氏と協力し、第3世代の極限補償光学装置のVLT/SPHEREで得られたTW Hydraeのデータ解析を行うことができた。それにより装置の系統誤差の評価が想定以上に重要であることを明らかにできた。さらに研究協力者の藤田氏と協力してアクシオン振動の探査法を議論できた。それらの議論を含めてSubaru/SCExAO fast-PDI modeによる観測計画を詳細に詰めたことで、観測プロポーザルの採択を得ることができた。この観測申請採択は研究期間中に目指していたことであり、それを早くも研究1年目に達成できたことは大きな成果である。
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今後の研究の推進方策 |
アクシオン振動の探査には原始惑星系円盤の天体物理的な振動成分との分離が必要であり、その効率的な方法を探るために研究協力者の田崎氏と協力して原始惑星系円盤の偏光のシミュレーションを行う。その方法論をまとめて一編の論文を作成する。さらに来年度から本科研費で雇用予定の研究員が協力者として加わることでデータ解析を加速させる。既存のデータの解析や我々のSubaruによる観測で得られるデータを解析を行い、アクシオン暗黒物質の存在の兆候や制限に関する論文を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ解析のために今年度から雇用予定であった研究協力者が急遽、本務の都合により協力が得られないことが判明した。そのため、今年度使用予定額の大部分を占める人件費を使用しなかった。新たな協力者を確保でき、来年度7月から雇用するため、その人件費を使用する計画である。
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