研究課題/領域番号 |
21K18638
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研究機関 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究 |
研究代表者 |
小谷 隆行 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, アストロバイオロジーセンター, 助教 (40554291)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | 導波路回路 / PLC / 回折限界 / 光干渉計 |
研究実績の概要 |
本研究は、これまでの技術では難しかった、大気乱れの影響をなくし、高コントラストの可視回折限界イメージングを可能にする、光導波路回路の開発が目的である。これはシリコン基盤上に、半導体パターン転写技術によって微細な光の通り道(導波路)を作製するもので、複雑な光干渉光学系を容易に実現できるうえ、可動部や調整機構が全くないため極めて安定である。このような導波路回路は、光通信用に近赤外線では広く用いられているが、可視光領域での利用はあまりされていなかった。また、天文用途では高い効率と、広い波長範囲が必要である一方、通信用途ではこれらはあまり重要視されていないため、天文応用を実現するためには、まず各導波路回路の特性を事前に明らかにすることが必須である。 本年度は、最適な導波路製作条件を調べることを目的として、基本的な導波路回路の特性を知ることに注力した。そのために、様々なパラメーターで分岐・結合回路、導波路の幅、厚み、交差回路、曲率を持った導波路回路といった基本的な導波路回路を作成し、それらの透過率・分岐・結合の波長依存性、偏光特性、クロストークを測定した。また測定を安定して行うために、光源と、導波路を透過した光の明るさを同時に測定するための光学系とソフトウェアを開発した。 その結果、様々な条件下での導波路回路の特性を明らかにすることができた。一部のパラメーターでは、透過率などが目標を満たさないこともわかったため、次年度の5分岐20出力導波路回路の製作に向けて、重要なデータを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目の目標としていた、様々なパラメーターで、基本的な導波路回路を作成し、その特性を測定する、ということはおおむね達成できた。一方で、一部の波長での測定には時間が不足していたためできなかったが、大まかな特性は明らかにできたことと、他の波長域のデータを内挿・あるいは外挿することで、影響を抑えることは可能だと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1年目において、基本的な導波路回路の特性が明らかにすることができたため、これを元にして、望遠鏡を5分割して光を干渉させる、5入力20出力回路の設計と製作、回路の特性評価を行う予定である。評価系は既に1年目において構築済みであり、これをそのまま使用する。
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